「緊急事態解除も回復に時間」 京都・錦や白浜、法隆寺

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観光客の姿は戻らず、人通りが少ない錦市場(24日、京都市中京区)

政府は25日、緊急事態宣言を全面解除した。解除を受けて、関西の主な観光地では客足の戻りに期待が高まるが、県境をまたいだ移動は引き続き自粛が求められ、早期の回復に対しては慎重な声が多い。ただ自粛解除後の夏場以降を見据えた需要取り込みの動きも出始めた。

新型コロナ前まで国内外からの観光客らが細い通路を埋め尽くした京都・錦市場。京都府で宣言が解除された最初の週末も小売店の再開は約半分にとどまり、客足はまばら。こうした状況に京都錦市場商店街振興組合の宇津克美理事長は「府内外の人出が戻るには時間がかかる」と話す。

奈良県斑鳩町の世界遺産、法隆寺は21日、西院伽藍(がらん)など有料拝観場所について約1カ月ぶりに拝観を再開した。しかし「解除されても、いまの状況ではまだまだ修学旅行生などを受け入れるのは考えられない」(同寺)とする。

関西有数のリゾート地として知られる白浜。和歌山県が感染防止のため県外客の受け入れ自粛要請を続けていることもあり、白浜温泉旅館協同組合は「(宣言が解除されても観光客は)スピーディーに反応しないのではないか」とみる。

首都圏からの玄関口、南紀白浜空港(白浜町)の5月の搭乗客数は前年同月比98%減の約320人を見込む。毎日6便あった羽田との定期便が徐々に運休し、18日からの全面運休状態が6月14日まで続く予定だ。

ただ政府が移動の自粛要請を段階的に解除する方針を示し、需要回復に向けた取り組みは進みそうだ。修学旅行生の利用が多いホテル本能寺(京都市中京区)は7月10日ごろまで休業予定だが、8月のお盆を過ぎてからの受け入れ準備を本格化している。春夏の旅行日程を秋冬に振り替える。「冬は売り上げが落ちるが、今年は昨年の3~4倍を見込んでいる」(同ホテル)として、挽回に意気込む。

28日から西の丸の庭園など屋外部分の入城を再開する世界遺産の姫路城(兵庫県姫路市)は、大天守など屋内部分を6月15日に再開予定で、約3カ月ぶりに全面公開へと向かう。

2019年度の入城者数は1月までの累計が前年同期を8%上回ったが2~3月の入城者数は59%減った。屋外部分では通路を設けて客同士の接触を減らし、公開前日には動線の消毒も行う。感染防止対策とバランスを取りながら観光客を受け入れていく考えだ。