タイ航空株、政府が一部売却 リストラへ「国営」外す
【バンコク=村松洋兵】法的整理が決まったタイ国際航空は25日、筆頭株主のタイ財務省が株式を一部売却し、同社を国営企業から除外したと発表した。国営企業のままだと意思決定が煩雑なうえ、従業員の権利が強く、再建を円滑に進められない懸念があった。人員削減や機材売却などリストラをしやすくする狙いがある。
株式の51.03%を保有していた財務省が、このうち3.17%を政府系投資ファンドの「ワユパック・ファンド1」に売却した。財務省の持ち分は50%未満となり、タイ航空は法律で規定される国営企業でなくなった。
国営企業は事業計画の決定に際し、そのつど政府の承認が必要だ。経営のスピードが遅くなる原因となっていた。また従業員は公務員にはないストライキ権を持つ一方、公務員並みの福利厚生を保証されており、経営改革の妨げとなっていた。
タイ航空は近く中央破産裁判所に破産法に基づく会社更生手続きを申請する方針だ。減資する可能性があるが、現時点で方向性は決まっていない。財務省は政府系ファンドへの株式の一部譲渡により、政府の影響力を保ちながら、更生手続きをスムーズに進められるようになる。
中央破産裁判所が更生手続きの開始を決定すれば、本格的な再建が始まる。外部から経営者を招き、債務再編やリストラ策を盛り込んだ具体的な更生計画案を策定する。計画案が債権者集会で承認されれば、運航を継続しながら再建を目指すことになる。債権者が弁済などに満足せず更生計画案を否決すれば、破産になる可能性も残る。