https://cdn.mainichi.jp/vol1/2020/05/25/20200525k0000m040309000p/6.jpg?1
緊急事態宣言が延長された初日の7日、帰宅ラッシュの時間帯の東京駅前=東京都千代田区で2020年5月7日午後5時13分、宮武祐希撮影

首相が誇示する「日本モデル」はどこまで有効か 冬の再流行の懸念

by

 政府は25日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、北海道、東京、神奈川、埼玉、千葉の5都道県で継続されていた緊急事態宣言を同日付で解除することを決定した。

 近畿圏の緊急事態宣言を解除してから中3日のタイミングで開かれた専門家による基本的対処方針等諮問委員会。北海道と首都圏の解除判断の鍵となったのは、医療提供体制の状況だ。

 政府は判断基準に、直近1週間の新規感染者数(人口10万人当たり)が「0.5人程度以下」との目安を示し、医療や検査体制などを総合的に判断するとしていた。宣言が継続した北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川の5都道県で新規感染者数の減少傾向が続く中、北海道と神奈川では24日までの1週間の新規感染者数(同)が0.72人、0.70人と目安を上回っていた。

 それでも北海道と首都圏の解除判断の鍵となったのは医療提供体制の状況だ。

 前回21日の基本的対処方針等諮問委員会では自治体から解除への不安の声が上がったが、この日は「自治体から『医療体制は逼迫(ひっぱく)していない』という報告があった」(岡部信彦・川崎市健康安全研究所長)点も踏まえ解除が妥当だと判断した。

 3月下旬以降、急増した患者は、同月27日に1日の新規感染者数が初めて100人を突破。退院者を差し引いても空き病床が埋まる状況が続いたが、その後、政府専門家会議が期待する「対策が可能なレベル」に感染者を抑え込んだ。

 厚労省幹部は「人との接触機会を減らすことで、感染を止められた」と指摘する。

 安倍晋三首相は接触機会の「最低7割、極力8割削減」を掲げ、対象地域に外出自粛を要請。4月7日の宣言後、内閣官房は携帯電話の位置情報などを基に分析したデータを日々、ホームページ上で公表。最初の日曜となった同12日の対象7都府県の人出は感染拡大前と比べ、7割程度減った。しかし、政府は8割削減にこだわり、さらなる協力を求めた。

 安倍首相は25日の宣言解除表明の記者会見で「日本ならではのやり方で、わずか1カ月半で今回の流行をほぼ収束させることができた。まさに日本モデルの力を示した」と「成果」を誇示した。一方、政府による一連の対策効果について諮問委のメンバーは「評価はまだ早い」と語った。複数の政府関係者は、3月下旬の東京都知事のロックダウン(都市封鎖)発言や、コメディアンの志村けんさんの死亡が与えた社会的なインパクトも大きかったとみる。

 また、宣言は解除されたものの、いずれ感染が再流行するとの懸念は根強い。

 「再流行は…

この記事は有料記事です。

残り1334文字(全文2377文字)

いますぐ登録して続きを読む

または

登録済みの方はこちら