日本郵政、前副社長に「違法性なかった」 前総務次官の情報漏えい問題で
by 毎日新聞かんぽ生命保険の不正販売問題を巡る行政処分の情報を総務省の鈴木茂樹前事務次官が日本郵政の鈴木康雄上級副社長(当時)に漏らしていた問題で、日本郵政は25日、第三者による調査結果を公表した。鈴木前副社長について「違法性は認められなかった」としつつ、次官との接触は控えるべきだったと指摘した。
前副社長は総務事務次官経験者で、前次官の先輩に当たる。調査報告書では、昨年12月13~16日にかけ、①日本郵政グループ役員の責任の取り方に関する関係者間のやり取り②関係者しか知り得ない高市早苗総務相の日程③日本郵政に対する総務省の行政処分の方向性に関する情報――について、前次官が前副社長に携帯電話のショートメールなどで漏えいしたと認定。前副社長への聞き取り結果などを踏まえ、いずれも前副社長が前次官に情報提供を求める積極的な理由はなかったと指摘した。
日本郵政から依頼を受けて調査した三浦亮太弁護士は25日にオンラインで記者会見し、「先輩、後輩ゆえの情報提供だったと思うが、センシティブな局面なのでコミュニケーションを控える対応がなされるべきだった」と述べた。
一方、今回の調査は前次官や総務省への聞き取りを実施しておらず、なぜ漏えいが起きたのかが究明されたとは言いがたい内容となった。前次官に聞き取りしなかった点について、三浦氏は「任意の調査なので協力は得られないだろうということで協力要請しなかった」と話した。会見に同席した日本郵政の増田寛也社長は「今後疑念を持たれることがないように、監督官庁との意思疎通を考えなければいけない」と語った。【後藤豪、本橋敦子】