静かなる競り場 花の落札、買い手はオンラインで

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 新型コロナウイルスの感染拡大は、花の競り場の風景も一変させた。大阪鶴見花き地方卸売市場(大阪市鶴見区)では早朝、「ひな壇」と呼ばれる座席が人で埋まっていたが、4月からオンラインを利用した競りに移行。1994年の開場以来初めてという、ガランとした光景が広がる。

 同市場では切り花と鉢物で年間4億本・鉢以上を扱い、毎朝、近畿2府4県から生花店主や仲卸業者ら300~600人の買い手が集まっていた。ウイルス対策のため、市場を管理運営する「大阪鶴見フラワーセンター」は先月15日からひな壇を閉鎖。一方、同市場を拠点にする卸売会社「なにわ花いちば」は、3年前から地方の小売店や海外の買い手向けに有料で開設していた「在宅セリシステム」を無料で開放し、関係者が誰でも利用できるようにした。

 競り人は入荷した花を備え付けのカメラに向かって見せ、買い手は自宅などのパソコンを使って次々と落札していく。約150人だった登録者は約600人に増え、競りに参加するため市場に来ていた買い手の大半がオンラインに移行した。奥田芳彦社長(57)は「『世の中に花を絶やさない』との思いで、市場の機能を止めることなく人の密集を避ける方法を考えた結果」と話している。【山田尚弘】