9月入学、市区長の8割が「反対」「慎重」 懸念根強く
by 毎日新聞全国の市長と東京23区長でつくる全国市長会が、政府が検討している9月入学制に対する賛否を市区長に尋ねたところ、「反対」または「慎重」が8割を超えた。9月入学制を導入した場合、大きな影響を受ける小学校や保育所を抱える基礎自治体の間で懸念が根強いことが明らかになった。
25日開かれた9月入学制に関する自民党ワーキングチームの会合で、立谷秀清会長(福島県相馬市長)が調査結果を示した。
全国市長会によると、全国の815自治体を対象に調査を実施し、70.7%に当たる576自治体が答えた。最も多かったのは「慎重」で360自治体(62.5%)。「反対」の103自治体(17.9%)と合わせると8割を超えた。「賛成」は104自治体(18.1%)にとどまり、9自治体(1.6%)は「保留」(無回答なども含む)とした。
立谷市長は慎重・反対派の代表的な意見として、「新型コロナウイルス対策として子どもたちの安全を守るために血眼になっており、そんな議論をやっている状況ではない」「入学時期が半年ずれることで看護師らが子どもを預ける先に困る」などの声を紹介した。
9月入学の狙いの一つである教育のグローバル化に対して「海外留学するのは極めて少数であり、全体を考えた時に9月入学が最良の選択肢ではない」といった疑問の声があったことも明らかにした。賛成派は「今年度の学習格差の解消」などを理由に挙げたという。
自民党の会合では、全国926町村でつくる全国町村会も、47都道府県の各会長の9月入学に対する賛否を公表した。「反対」が38人(81%)と最多で、「どちらとも言えない」が6人(13%)。「賛成」は3人(6%)にとどまった。
全国町村会の荒木泰臣会長(熊本県嘉島町長)は「新型コロナとの闘いのさなかに、大きな労力を伴う制度改革について、短期間で結論を得て実行に移すことが可能でしょうか」と疑問を投げかけ、「最優先とすべきはどの地域の児童・生徒も等しく学べる環境を取り戻すことだ」と訴えた。【大久保昂】