【虎のソナタ】開幕近し、阪神ネタ「だし」ていかにゃ

 当番デスク席に電話したら、出てきたのはデスク阿部祐亮。声のトーンが異様に低い。

 どうした、中央競馬のオークスで外したのか?

 「いえ、実は徒歩での出勤途中に自動販売機で『だし』(最近、『だし道楽』という自販機がはやってます。焼きあご入り700円です)を買おうとして、100円玉を入れ損ねまして。コロコロとおむすびころりん状態で、どこかへ行ってしまって。見つからないんです。ショックで、ショックで」

 おいおい、100円でそこまで落ち込むか。

 「はい、僕はすごく気にするタイプなんです」

 オークスで1番人気のデアリングタクトを信じて単勝1点勝負でもしていれば、今頃笑っていられたのに。

 まあ、終わってからなら何とでも言える。でも、強かった。後方から直線一気。63年ぶりの無敗の牝馬2冠達成だとか。

 プロ野球で63年前といえば、あのミスタージャイアンツ長嶋茂雄がプロ入りする1年前。とんでもなく昔の話。そう考えると、デアリングタクトの快走は時空を超えた快挙だ。東京競馬場の無観客がホント、もったいないと感じる歴史的瞬間だった。

 そして、迎えたダービーウイーク。わがサンケイスポーツも紙面の大展開を予定しております。

 紙面総括は運動部長・大澤謙一郎。

 「きょうもダービーで1面ですからね。年末の有馬記念ウイークに負けないぐらいの紙面を割いて、情報てんこ盛りでいきますよ。レース部に頑張ってもらうことになります。と、ここまでは紙面総括の立場です。運動部長としては、レース部のおかげ、ダービーのおかげで、今週はもうちょっと楽ができれば…」

 実に都合のいいヤツだ。でも、ことしは新型コロナウイルスの影響で、最近2カ月はプロ野球を含めて運動部記者は“商売あがったり”状態。ずっと、レース部が奮闘してくれていた。

 そろそろ、運動部がフル回転しなきゃいけないよなぁ。

 「もちろんです。6月に入れば、開幕への動きが急ピッチになると思います。ほとんどのプロ野球担当記者が今は、オンライン取材に制限されてますが、徐々に解除されていってほしいですね」

 大澤は期待と不安が入り交じる心境だ。今すぐに、“目と目を見つめあって”取材なんてできないだろう。

 国民に向けて「新しい生活様式」が示されているが、果たして「新しい取材様式」なるものが決められるのかどうか。

 阪神キャップ大石豊佳は「確かに心配な部分もありますが、あした(25日)緊急事態宣言が完全に解除されれば、一気に動き出すと思います。きょうも藤浪やエドワーズが打者相手に投げて好投してますし、今週半ばには紅白戦も行われたりするかもしれません。いよいよ、のムードが高まってきています」と阪神の現状を説明。開幕近し-。遅すぎる「球春」を感じているようだ。

 ダービーウイークを楽しみつつ、眠りから覚める虎の“実戦ムード”を体感する今週1週間にしていただけたら。

 そうそう、阿部デスクよ。ダービーでも2週連続で「無敗の2冠馬」誕生の予感がするじゃないか。信じて、100円を取り返してみては!?