黒川問題とアフターコロナ後

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内閣支持率が急落し27%になった(毎日新聞世論調査)。支持率が2割台になったことは安保法制の時にもあった。それより私が驚いたのは、不支持率が19ポイントも上がり64%になったことだ。記憶する限り第二次安倍内閣で不支持率が6割を超えたことはない。それだけ安倍政権に対する世論の拒否反応が強いということだ。

 5月9日頃から「#検察庁法改正案に抗議します」がネットで大きなうねりとなり、既存メディアもこの問題を大きくとりあげてきた。我々野党は世論を力に闘い、与党はたまらず先週、今国会での法案成立を断念しさらに賭け麻雀問題で黒川東京高検検事長の辞任を認めた。この不支持率の急増もそうした世論の現れといえる。社会の力が内閣の権力乱用を阻止したのだ。これこそアフターコロナ後のあるべき姿だと思う。

新型コロナ感染拡大の中で明らかになったのは、緊急事態宣言にみられるように国家に権限を集中せざるを得ない場合があるということ、また、特別定額給付金(全世帯に給付される10万円)などの支給の遅れにみられる政府のIT化の遅れだ。前者については、インフルエンザ特措法を改正してコロナに適用可能としたが、さらにコロナウィルスなどにかかわらず新たな感染症に対応できるようにする、ロックダウンを可能とするより強い措置を設ける、などの議論が出てくるだろう。

後者については、私も先日(5月21日)の総務委員会で個人口座との紐付けなどマイナンバー・マイナンバーカードの利用拡大をすすめるべきとの質問を高市大臣に行ったところだが、同大臣は22日の記者会見で、経済対策や社会保障の現金給付を円滑にする狙いで、マイナンバー制度と預貯金口座の情報をひも付けるための法整備を目指すと表明した。

アフターコロナの日本では、IT化による個人情報の政府への集中、感染症対策などで政府の権限強化が進むだろう。そのとき権力の濫用を止めるのは社会の力しかない。コロナ問題のどさくさに司法への介入を行うなどという「三権分立」を無視した権力の濫用を止めた世論、今回政府に対峙する社会の力を示せたことは大きかった。