ふるさと納税巡り職員が2000万円収賄か 親族の精肉店から 高知・奈半利町

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 高知県奈半利(なはり)町のふるさと納税を巡る汚職事件で、返礼品の精肉を親族の精肉店に取り扱わせる見返りに二千数百万円を受け取った疑いが強まり、県警は近く、元町地方創生課長補佐の柏木雄太被告(41)=受託収賄罪などで起訴、休職中=と、複数の親族を贈収賄容疑で立件する方針を固めた。捜査関係者が明らかにした。

 捜査関係者によると、ふるさと納税を担当していた被告は、返礼品を取り扱う町内の2業者に精肉を加えるよう求め、親族が経営していた精肉店からの仕入れを指示。この精肉店は2業者からの注文を受け、別の卸売業者に精肉の手配や配送を任せて仲介手数料だけを受け取っていたという。

 2017~18年、被告が関係する口座に二千数百万円が精肉店から振り込まれたとされ、県警は賄賂に当たると判断したとみられる。

 被告は元町地方創生課長の森岡克博被告(45)らと共謀。同県安芸市の水産加工会社に便宜を図った見返りに計約179万円の賄賂を受け取ったとして、受託収賄罪などで高知地検に起訴されている。

 ふるさと納税を巡っては、豪華な返礼品を用意する自治体に寄付が集中する問題が発生。総務省は19年6月、返礼品について寄付額の3割以下の地場産品に限定し、この基準に合う自治体だけが参加できる新制度に移行した。新制度に参加するため、町が返礼品の調達価格を安く見せかける虚偽の申請書類を提出していたことも判明している。

 竹崎和伸町長によると、柏木被告から18年8月ごろ、返礼品の調達価格の一部を梱包(こんぽう)代などの手数料として会計処理する形で、実際の調達代より安く見せる提案を受けたという。竹崎町長は、申請時からこうした事実を把握していたことを認めており、町は第三者委員会を設置して問題を検証する方針。【郡悠介】