緊急事態宣言の全面解除、諮問委が妥当と判断…国会報告後に首相が記者会見へ
政府は25日午前、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を全面解除する方針を、専門家でつくる基本的対処方針等諮問委員会に示した。諮問委は首都圏4都県(東京、神奈川、千葉、埼玉)と北海道に発令している宣言の解除を妥当と判断した。25日中に全面解除となる運びだ。
新型コロナ対策を担当する西村経済再生相は諮問委で、「全ての都道府県で緊急事態宣言を実施する必要がなくなったと認められる。緊急事態の解除宣言を行うことを諮問したい」と述べた。
政府は25日午後、国会への事前報告を経て、安倍首相が記者会見に臨み、その後の政府対策本部で解除宣言をしたい考えだ。
宣言は4月7日、東京、大阪など7都府県に発令後、16日に全都道府県に拡大された。しかし、感染者の減少傾向などを踏まえ、5月14日以降、発令対象の府県が段階的に解除されてきた。
政府は宣言解除にあたり、〈1〉感染状況〈2〉医療提供体制〈3〉PCR検査などの監視体制――を総合的に判断するとしている。宣言が続く5都道県については、北海道と神奈川が「直近1週間の新規感染者数が10万人当たり0・5人程度以下」の目安を満たさなかった。ただ、感染者数の減少傾向が持続的で、感染経路不明者の割合が低いため、解除は可能と判断した。
諮問委では、北海道と神奈川、感染者数の多い東京の感染状況を今後も注視するよう注文が出た。
全面解除後は、全国で感染防止策を徹底しながら、社会経済活動を徐々に再開することになる。政府は25日に改定する基本的対処方針で、感染状況を見ながら3週間ごとに外出自粛、イベントの開催制限、施設の使用制限を段階的に緩和する考えを打ち出す。
活動再開の行程表の指針もあわせて公表し、コンサートや展示会、スポーツイベントなどについて具体的な開催基準や取り組みなどを公表する方向だ。
一方、政府は感染の第2波に備え、医療提供体制を強化する。加藤厚生労働相は25日の諮問委で「長期戦あるいは再度の感染拡大の可能性も想定し、治療薬やワクチンの開発促進、検査体制の強化などに全力を尽くす」と語った。