奈良公園に新たな散策スポット 山口吉郎兵衛氏の別荘跡に日本庭園

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 奈良県が奈良公園内の高畑地区で整備を進めてきた日本庭園「瑜伽山園地(ゆうがやまえんち)」が24日、開園した。明治期から昭和初期にかけて文化人が交流を深めた同地区の雰囲気を伝える庭園で、入場は無料。初日はお年寄りを中心に園内を散歩する人でにぎわった。

 管理する県によると、園地は広さ約1・3ヘクタールで、名所・浮見堂が建つ鷺池(さぎいけ)の南側に隣接する。明治期から大正期にかけ、大阪の財界で活躍した山口吉郎兵衛(きちろべえ)氏の別荘があった場所。1951年に裁判所になったが移転し、2005年に県が買い取って、16年から庭園整備を進めてきた。総事業費は約6億円。

 庭園の広さは0・75ヘクタール。瑜伽山の起伏を生かした高低差のある庭に竹や樹木の緑があふれる。高台からは街や高円山の眺望も楽しめる。毎朝周辺を散歩し、開園を待ちわびていたという主婦、吉田佳代子さん(81)は「想像以上に立派で驚いた。無料で気軽に立ち寄れるのが良いと思う」と散策を楽しんでいた。

 庭園内には山口氏が建てた茶室を再現した。有料(要予約)で利用できる。6月5日には園地内に併設する宿泊施設と交流・飲食施設も開業する。

 庭園は手入れ期間の2月下旬を除き、年中無休。午前9時~午後10時(入園は午後9時半まで)。問い合わせは(0742・22・5911)。【林みづき】