南ア、来月から経済活動の大部分再開へ…大統領「感染拡大は外出制限でも抑えられない」
【ヨハネスブルク=深沢亮爾】南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は24日のテレビ演説で、新型コロナウイルス対策で制限している経済活動について、6月から大部分の再開を認めると発表した。感染者数の増加傾向は続いているが、国民生活の再建を優先する。
南アの感染者数は24日、2万2583人となったが、このうちの約3分の1が、17日以降の1週間で増加した分だ。演説でラマポーザ氏は「感染拡大は外出制限でも抑えられず、ワクチンの開発まで広がり続けるだろう。当分、このウイルスと付き合う必要がある」と強調した。その上で経済活動の再開を表明し、「今後、感染速度はさらに加速するだろう」と述べ、国民に手洗いの徹底などで自衛するよう呼びかけた。
南アは5月1日に外出の全面禁止から、5段階の警戒レベルに応じた制限措置に移行した。6月からは警戒レベルを現在の4から3に引き下げ、飲食店や映画館などを除くほとんどの業種で営業再開を認める。大規模集会の禁止や国境の封鎖は続けるが、夜間の外出や酒類販売の禁止措置も解き、政府は800万人が職場復帰すると見込んでいる。
南アでは、貧困層を中心に3月下旬以降の外出制限で収入を断たれ、食料確保にも窮する人が相次ぎ、社会問題となっていた。