東京圏在住者の5割「地方暮らしに関心」…1万人調査、コロナ終息後に移住促進へ
地方への移住者を増やすため内閣官房が東京圏(東京都、神奈川、千葉、埼玉県)在住の約1万人を対象に行った調査で、49・8%が地方暮らしになんらかの関心を持っていることが分かった。現在は新型コロナウイルスの感染拡大で都道府県をまたぐ移動の自粛が呼びかけられているが、政府は終息後の移住促進に役立ててもらおうと、今後、地方移住に関するインターネットサイトを開設する予定だ。
調査は1~2月に20~59歳の男女を対象にインターネットで初めて実施。地方暮らしに「関心がある」と答えたのは15・6%、「やや関心がある」は15・5%、「気にはなっている」が18・7%だった。地方出身で「関心がある」と答えた人の割合は21・5%で、東京圏出身者の13・7%より7・8ポイント高かった。
理由を聞いたところ、「豊かな自然環境があるため」が54・8%と最も多く、「生まれ育った地域で暮らしたい」(16・2%)が続いた。ただ、実際に検討、計画している人は13・7%にとどまり、いかにして意向を行動に結びつけるかが課題だ。
内閣官房は2~3月に20~39歳の約100人を集めてグループインタビューを行い、進学や就職で東京圏に転入した人が地元に戻らない理由などを探った。その結果、地方出身者からは「英語を使う仕事がしたいが地元にはない」「給料が低い」などの声があった。「女性は家にいるものだという価値観が根強い」との意見も多く、自治体がこうした声に配慮した施策を打ち出せるかが移住促進のポイントになりそうだ。
政府は調査結果などを踏まえて地方暮らしのPRに力を入れ、今秋、移住の成功談などを掲載した専用サイトを開設する予定だ。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の小林憲生企画官は「新型コロナウイルスの感染拡大が終息したら、移住に関心を持つ人が具体的に計画・検討できるような情報発信をしていきたい」と話している。