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コンサドーレ札幌MF白井康介【写真:小林 靖】

札幌の躍進を象徴する一撃 “浪速のロッベン”の思い結実、「忘れられない」渾身ミドル弾

【J番記者が選ぶスーパーゴール|札幌編】2018年J1第23節FC東京戦(後半23分)…白井康介の強烈ミドル弾

「2点差は危険なスコア」と耳にする一方で、実際には2点差が埋まる確率は極めて低いというデータがあることが示されている。2点差がついてしまえば、そこでほぼゲームオーバーということなのだろう。だが、それを覆したのが2018年J1第23節、北海道コンサドーレ札幌がFC東京を札幌ドームに迎えた一戦だった。

試合開始時点での順位はFC東京が3位、札幌が6位。札幌は前半のうちにFC東京に2点を奪われて試合を折り返した。冒頭で記した通りならば、この時点で試合の行方はほぼ決していたことになる。だが、札幌はやってのけた。

後半立ち上がりにFW都倉賢(現・セレッソ大阪)が決めて1点差としたが、これは2点のリードを持つFC東京の気の緩みに乗じたように思う。勝負はそこからだ。2点差を得たチームが逃げ切れるのは、当然ながら2点差が大きなものであると同時に、1点差に迫られてからはしっかりと守備意識を取り戻すからだろう。そこをこじ開けるのは簡単ではない。

だが、見事にそれを果たしたのが後半から投入された背番号19、MF白井康介の一発だった。コントロールをミスした相手DFからボールを奪うと、そこから内側に持ち込んで右足一閃。強烈な弾道がゴールネットを揺らし、スタンドの声量をも一気に高めた。そしてこの豪快な同点弾で勢いを得た札幌は、見事に3-2の大逆転勝利を手繰り寄せたのである。そしてこの勝利が、最終節までAFCチャンピオンズリーグ出場権を争う躍進のきっかけになったように感じている。

自身のJ1初ゴールとなった白井だが、肝心のプレーについては「嬉しすぎて、まったく覚えていない」。2013年に大阪桐蔭高から湘南ベルマーレに加入しながらも、思うように出場機会を得られず、15年途中からJ2の愛媛FCへと戦いの場を移していた。

「いつかまたJ1で。そう思いながら、とにかく目の前のことに全力で取り組み続けた」

そうした努力と活躍が札幌の目に留まり、この日のゴールへとつながった。

プロ8年目の今季、念願の開幕スタメンを奪取

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