教諭にフェースシールド着用要請 専門家「熱中症対策を」 山形県教委

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 山形県教委は、25日から県内の学校が本格的に再開するのを前に、新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、教諭にマスクと透明な素材で顔を覆う「フェースシールド」の着用を要請した。ただ、気温が上昇する季節に向け、専門家は「熱中症の危険性が高く、水分補給が重要だ」と警鐘を鳴らす。【的野暁】

 フェースシールドは、一般的に医療従事者が患者からの飛沫(ひまつ)感染を防ぐために着用する。しかし、今月7日の県の医療専門家会議で「生徒よりも成人の教諭の方が感染リスクが高い」と指摘されたことから、県教委は「生徒に近づいたり、大声で話したりする場面が多い教諭が着用することで、双方の感染防止に努めようと発案した」と説明する。

 県教委は、学校に備蓄されているクリアファイルや透明のシートを代用し、テープで留めて作製する方法を書いたマニュアルを各校に送付し、学校側は対応を急いでいる。

 ただ、現場の教諭からは不安の声が上がる。村山地方の30代男性教諭は「マスクだけでも普段より大きな声を出す必要があるので、さらに伝わりにくくなるのではないか。現実的でない気もするが、我慢が必要だ」。同地方の40代女性教諭は「熱がこもって汗ばむ。だが、生徒の後ろには保護者がいるので着けないわけにはいかない。熱中症対策が必須だ」と危惧する。

 熱中症患者の減少を目指す医師らでつくる「教えて!『かくれ脱水』委員会」の委員長、服部益治・兵庫医科大教授(腎臓専門医)は目の粘膜などへの飛沫感染対策になるとする一方で、「夏場にマスクをするだけでも放熱を妨げるのに、フェースシールドを施せば、さらに熱中症リスクにさらされる」と指摘。そのうえで、「エアコンがない教室であれば授業(1時間)の合間に一度はマスクなどを外して水分補給をしなければ倒れて、最悪死に至る場合もあると認識しなければならない」と警鐘を鳴らす。

 また、代用品としてレンズが大きいだてメガネの装着を提案。体育や運動会などの学校行事についても「マスクをして行えば生徒が犠牲になる場合もある。前例にとらわれない工夫が求められている」と強調した。