イスラエル首相「事件はでっち上げ」 収賄や詐欺、背任の罪で起訴

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 イスラエル最大手の通信会社に便宜を図った見返りに、この会社の傘下のニュースサイトで好意的な報道をさせたなどとして収賄や詐欺、背任の罪で起訴されたネタニヤフ首相の初公判が24日、エルサレムの地裁で開かれた。ネタニヤフ氏は17日に通算5期目となる新政権を発足させたばかりで、イスラエルで現職首相の刑事裁判が行われるのは初めて。争う姿勢を示しており、裁判長期化は必至だ。

 ネタニヤフ氏はこれまでも事件捜査を「魔女狩り」と批判。この日も公判終了後、「国民の意思を阻止する試みだ。でっち上げられた事件で、私は戦い続ける」との声明を出し、自身には国民の支持があると訴えた。イスラエルでは、首相は起訴されても有罪確定まで辞職の必要はない。

 次回公判は7月19日。地裁の判決が出るまでだけでも数年を要するとみられる。イスラエルではオルメルト元首相が汚職事件で有罪判決を受けており、2009年の初公判から収監されるまで6年以上かかった。

 起訴されているのは、通信会社を巡る事件のほか、著名映画プロデューサーらから葉巻やシャンパンなど高額な贈り物を不当に受け取ったなどとする収賄や背任などの計3件。有罪の場合、収賄は最長10年、背任や詐欺は最長3年の禁錮刑となる。【エルサレム高橋宗男】