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那覇行きの旅客機から見えた辺野古の埋め立て現場=沖縄県名護市で2020年1月24日午前9時22分、田鍋公也撮影

「辺野古」変更、3月にも申請へ 軟弱地盤を改良 法廷闘争も視野

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 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で、政府は埋め立て予定海域で見つかった軟弱地盤の改良工事に伴う設計変更を3月にも沖縄県に申請する方針を固めた。海底へのくいの打ち込みや護岸の形状変更などをあわせて申請する。ただ、沖縄県の玉城(たまき)デニー知事は承認しない考えで、政府は法廷闘争も視野に入れる。

 軟弱地盤が見つかったことを受け、防衛省は2019年3月、水面下70メートルまで地盤改良すれば安定性は確保できるとする調査報告書を国会に提出した。埋め立て後の施設の地盤沈下を防ぐため、約7万1000本のくいを打ち込む。同省は地盤改良には約3年6カ月かかると試算。本体工事は当初想定の5年から9年3カ月に延び、当初3500億円以上としていた総工費も約2・7倍の9300億円に膨れ上がる予定だ。

 設計変更は、こうした工事内容の変更に必要な手続き。一方、工期を短縮するため、海上から作業船で土砂を直接投入できるようにすることとし、軟弱地盤のない区域での作業を効率的に進めるため外周護岸の他に中仕切り護岸を設ける。また、当初は鹿児島県や香川県などの土砂も搬入することを想定していたが、土砂に付着する形での外来種侵入を規制する沖縄県条例が15年に制定されたことを受け、主に県内からの調達に切り替える。

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軟弱地盤があり、地盤改良が必要な地域

 防衛省は設計変更について、技術面は技術検討会、環境への影響は環境監視等委員会という二つの有識者会議に説明し、理解を得る手順を踏んできた。玉城知事が設計変更を承認せず法廷闘争になれば、有識者会議の「お墨付き」を論拠に妥当性を主張する考えだ。

 政府・与党は6月の沖縄県議選を重要視している。辺野古移設に否定的な県民感情を刺激して県議選に影響が出ないよう、設計変更を速やかに申請することで県議選から離したいという狙いもある。

 これに対し、玉城知事は14日の定例記者会見で「辺野古移設に反対する民意が繰り返し示されているにもかかわらず、これに応じようとしない政府の姿勢には強い憤りを禁じ得ない。あきらめず、ぶれることなく、これからも昨年2月の県民投票で示された移設反対の民意に応えられるよう誠心誠意頑張っていきたい」と述べ、改めて移設反対の姿勢を強調した。【田辺佑介、遠藤孝康】