太古の西アフリカに「幻の人類」、証拠見つかる 現代人のDNAにも痕跡
(CNN) 進化の系統から枝分かれした「幻の人類」に関して、かつてアフリカ西部に暮らしていたことを示す証拠がこのほど明らかになった。謎に包まれたこの人類は現生人類とも交流し、その遺伝子の一部は現代のアフリカ人に受け継がれているという。
学術誌「サイエンス・アンド・アドバンシーズ」に掲載された調査結果によると、この「幻の人類」はネアンデルタール人よりも早い時期に現生人類の系統樹から枝分かれしたとみられる。米カリフォルニア大学の研究者らは、枝分かれの時期を36万~100万年前としている。
アフリカ西部に住んだこれらの人類は現代のアフリカ人の祖先と交流し、子孫を残していた。ちょうどネアンデルタール人が現代の欧州人の祖先との間で子孫を残していたのと同じ状況だったと考えられる。
遺伝学者がコンピューター技術を使って現代人のDNAを解析したところ、現代の西アフリカ人につながる祖先の遺伝子のうち2~19%はこの人類のものが占めていることがわかったという。
英リバプール・ジョン・ムーアズ大学のジョエル・アイリッシュ教授はCNNの取材に答え、当時は異なる遺伝的特徴を持つ人類が数多く存在していた可能性があると指摘。「どの人類も互いに交わろうとする傾向がある。こうした『幻の人類』は今後も次々に見つかると考えられる」と述べた。
欧州、アジア、米州では、人類の祖先がネアンデルタール人との間に子どもをもうけていたという証拠が2010年に初めて提示された。先月には、アフリカ人のDNAにもネアンデルタール人の痕跡が残っているとする研究論文が学術誌に掲載されていた。