「自分も検査を」接触者外来に通院患者ら続々 和歌山・済生会有田病院
by 毎日新聞和歌山県湯浅町の「済生会有田病院」では、外科医に続いて患者の感染が14日明らかになった。県は他の医師や患者らのウイルス検査も進めており、どこまで感染が広がるか見通せない状態となっている。
県によると、有田病院には昨年7月末時点で医師9人を含め237人の職員が勤務。入院患者は今月14日現在で158人いる。他に、普段は1日平均約300人の外来患者が受診するが、同日から受け付けを中止した。県は感染した2人と接触していた医師や入院患者らを優先しながら順次、ウイルス検査を進めていくが、調べられるのは和歌山市の協力を得ても1日40検体ほどといい、終了時期は分からないという。県は検査用のキットの不足が予想されるとして、国に追加分の提供を依頼した。
県が14日、有田病院に設置した「接触者外来」には通院患者とみられる人たちが相次いで訪れた。月1回程度、整形外科を受診しているという近所の女性(78)は「肺炎の症状はないが、ウイルス検査をしてもらえたら安心だと思ってきた。医師から『感染した男性医師と濃厚接触をしていないので心配はない』と聞いて安心した」と話した。
一方、同僚が肺炎で入院しているという男性(64)は受診を断られた。「心配なので自分も検査してもらおうと来たが、症状がないと検査できないと言われた」と不安そうな様子で立ち去った。
有田病院がある湯浅町には「マスクは町で確保してくれるのか」など、感染を心配する町民からの問い合わせが複数寄せられた。町は14日に危機管理対策本部を設置し、午後に2回、防災無線を使って「パニックにならず感染症に気をつけて」などと呼びかけた。また、町内の観光施設7カ所に、日本語、英語、中国語で手洗いやうがい、マスク着用などを呼びかけるチラシを掲示した。
県は14日午前、感染者専用窓口を設置。同日午後4時現在、「有田病院に行ったが、感染した医師や患者と接触したかは分からない」など、計74件の相談があったという。仁坂吉伸知事は記者会見で「原因が分からず、肺炎になったという人がいたらすぐに言ってほしい」と呼びかけた。
県の窓口(073・441・2170)は午前9時~午後9時に開設。土日祝日も受け付ける。【後藤奈緒、木村綾】