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試合前に話し込む真中氏(右)と野村さん。真中氏がヤクルト監督を務めた2015年の一コマだ【拡大】

【ノムラIDの神髄】真中満氏、当たり前のことを徹底

 野村克也さん(享年84)が掲げた「ID(Import Data)野球」の神髄をお伝えする連載の第2回は、元ヤクルト監督の真中満氏(49)=サンケイスポーツ専属評論家=が守備、走塁について語った。

 野村監督が、外野手だった私に出した守備に関する指示は「守る位置を考えろ」だった。

 打者によって、打球方向やカウント別の打撃の特徴などを把握するのは当然。味方投手の投球内容やイニング、得点差なども考慮する。また、ナゴヤドームが1999年に開場する以前、セ・リーグで屋内のプレーは東京ドームだけ。だから、一球ごとに球場のバックスクリーン上にある旗で風向きを頭に入れた。

 いずれも失点を最小限に防ぐための準備。事前に情報を得て、試合中の状況判断の材料にあてる。ID野球の特徴といえる。野村監督時代に先発出場した際は主に中堅か右翼。他の外野手とのコミュニケーションも大事だと教わった。守備位置と意思疎通。それまでも心掛けていたが、改めて重要だと理解させられた。

 守備はカバリング、走塁では全力疾走を怠ったときに、野村監督やコーチに叱責された。打撃や守備に比べれば、走塁面の細かいアドバイスはなかった。出塁時に「ライナーなら飛び出すな」など、当たり前のことを徹底された。

 春季キャンプ中に連夜行われたミーティングでは、野村監督の考えをノートに書き込んだ。メモは取ったが、インパクトがあるので頭に入っている部分が多い。選手には「監督のつもりで試合を見ろ」と伝えていた。私は現役晩年、ベンチで「私ならこういったサインを出す」と考えながら戦況を見つめた。決して采配批判ではなく、のちの指導者経験に生きた。 (特別取材班)