大阪IR入札、1社しか希望なく単独入札へ

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さて、以下日経新聞からの転載。

大阪IRの事業者公募、登録は米MGMのみ 6月にも決定
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55641140U0A210C2AC8000/

カジノを含む統合型リゾート(IR)を巡り、大阪府・市の事業者公募に米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同グループが参加登録したことが14日、分かった。意欲を示していたシンガポールのゲンティン・シンガポールと香港のギャラクシー・エンターテインメントは見送った。府・市は選定委員会の審査などを経て、6月にも事業者を決定する。

ということで、大阪夢洲でのIR開発はMGMリゾーツとオリックスの共同グループのみが最終的に申し込みを行い、単独入札へ突入することになりました。大阪はそもそも2019年4月の段階では7社が参入意向を示していましたが、その後、8月に行われた横浜のIR誘致正式表明に伴って次々と事業者が大阪撤退を発表し、昨年12月の時点で大阪進出を希望する企業は3社にまで減退していました。そして、本日〆切となっていた入札参加事業者の審査申し込みでとうとう1社に。。なんとまあ、と言った状況です。

これまでもあちこちで散々申し上げて来た事ではありますが、大阪は市場としてはけしてその他の地域に劣後しているわけではないのです。大阪の最大の悲劇は行政が「夢洲」をその開発予定地として指定してしまった事。ここに至った経緯は以前にも詳しく解説していますのでそちらをご覧いただければ幸いですが、夢洲を開発予定地としてしまったが故に;

1. 用地が広すぎる故に、それを埋める為に開発規模が必然的に大きくなりコストがかさむ
2. 公共インフラ(交通、上下水等)が未整備&その一部を事業者が負担せざるを得ない為やっぱりコストがかさむ
3. 2025年の大阪万博開催地と隣接している為、建設工事スケジュールに難。故にコストがかさむ

等々と何重苦もの開発上の難しさを抱えているのが実態。正直、大阪行政的には引き返せるタイミングは何度かあったのですが、古くから大阪維新が「IR導入」を公約に掲げて選挙を戦ってきたなど「政治的には一歩リードしている」という事実もあり、ある意味、それが「行政の過信」を生んでしまっていたと言えるでしょう。

【参考】続・大阪夢洲カジノ構想の悲劇
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/10137867.html

ただ、実は私としては、もはやここまで来たら単独入札になった方が開発計画の全体最適化が実現できるんじゃないかなあと思っていたのも事実。以下、先月末の私のツイートから。

ある意味、既に引き返せない状況になってしまっていた大阪行政に対して、応札希望が1社しか残らなかった現状では、当然ながら事業者側は強い交渉力をもって今後の入札に臨むことができます。本来的には行政自身が「適切な」入札要件のラインをコントロールすることで民間企業同士の活発な競争の中で優れた計画が立ってゆくのが理想だったのでしょうが、硬直化して前にも後ろにも動けなくなってしまっている現在の夢洲構想の膨らみ過ぎた事業計画を適正規模にまで収束させ、重すぎる事業者への負担を軽減させ得るにはもう、このシナリオしか無かったんだろうなあ、と。これから大阪は良い方向に進めばなあ、と思います。

ということで、大阪はこういう結果になってしまいましたが、その他の自治体はこれを「他山の石」としながら、自身のプロジェクトを「正しく」進めて頂きたいと思います。以上、取り急ぎの所感でした。