大阪のIR、応募は1者のみ MGMとオリックスのグループ 吉村知事明らかに
by 毎日新聞カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を目指す大阪府の吉村洋文知事は14日、同日締め切った事業者公募の参加申請で、応募が米国のMGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスのグループ1者だけだったことを明らかにした。参入意思を示していた他の2事業者は横浜市のIRに専念するために撤退したとみられる。
府市の選定委員会による提案書類の審査を経て6月ごろに正式決定するが、大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)を開業予定地とする事業者は事実上、同グループに絞られた。MGMは「オリックスと共同で、大阪に世界最高水準のIRを実現するための提案作成に全力で取り組む」とコメントした。同グループは、パナソニックやJR西日本など約20社から出資を募る構想も進めており、関西企業との連携を重視するとみられる。
吉村知事は応募が1者にとどまったことについて報道陣に「経済規模の大きい首都圏の横浜市が誘致に手を挙げたことが大きな理由」と認めたが、「最初から大阪ファーストを貫き、他の追随を許さなかった」と大阪に専念したMGMの姿勢を評価。「首都圏に負けないIRを作っていきたい」と期待を示した。
全国の自治体に先駆けて誘致を表明した大阪のIRには当初、7者が関心を示していた。昨年実施した事業概要(コンセプト)の提案には3者が参加したが、このうちゲンティン・シンガポールと香港のギャラクシー・エンターテインメントは最終的に応募を見送った。ゲンティンは「株主の意見を慎重に検討した。横浜市のIR事業への参加に専心する」とコメント。ギャラクシーは「コメントできない」としている。
応募が1者のみになったことで、競合の機会は失われる。ある府議は「事業者に主導権を握られ、府市の負担が増えないか心配だ」と話す。府市は事業者に夢洲までの大阪メトロ中央線延伸などインフラ整備費の一部約202億円の負担を条件としているが、府幹部は「見直しを求めてくる可能性はある」と警戒する。
だが吉村知事はこうした懸念について「影響はなく、審査条件を見直すこともない」と強気の姿勢を崩さなかった。【道下寛子、芝村侑美、釣田祐喜】