署内の証拠品8500万円盗んだか、容疑者死亡のまま警部補を書類送検へ

 広島県警広島中央署(広島市中区)で2017年、詐欺事件の証拠品として金庫に保管されていた8572万円が盗まれた事件で、県警は14日にも、事件発覚後に死亡した男性警部補(当時36歳)を容疑者死亡のまま窃盗、建造物侵入両容疑で書類送検する。警部補は生前の事情聴取に関与を否定したが、県警は、状況証拠から判断したという。

 同署では17年5月8日、会計課の金庫から、詐欺事件の証拠品として押収した約9000万円のうち8572万円が盗まれていることが発覚した。県警は内部犯行とみて、発覚直前まで同署で勤務していた警部補から事情聴取し、警部補は関与を否定した。警部補は体調不良で休職し、同年9月、自宅で死亡した。

 捜査関係者によると、警部補は詐欺事件の捜査を担当。金庫周辺から警部補の指紋が検出されたほか、同僚らに多額の借金をし、発覚前後に返済していたことも判明した。

 県警は、現役警察官やOBらの口座を5万件以上調べたが、疑わしい点はなく、警部補が同署に侵入し、盗んだ可能性が高いと判断した。