立憲・杉尾氏「新型コロナではないので...」 与党なら失言?河野氏「雨男」の時は問題視が問題視

   立憲民主党の杉尾秀哉参院議員が2020年2月13日に行われた集会で行ったあいさつがネット上で議論を呼んでいる。杉尾氏はあいさつの中で咳が止まらないことに触れて「新型コロナではないので、ご安心いただければ」と話し、会場からは笑いも起きた。後にその様子が「まとめサイト」で「これが与党発言なら目くじら立てて抗議するクセに」といった声とともに拡散され、一部で批判が広がった。

   与党議員の発言では、河野太郎防衛相が19年10月に自身のパーティーで「私はよく地元では雨男と言われた。私が防衛大臣になってから既に台風は三つ」と述べて問題視されたことがある。

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杉尾秀哉参院議員は「これは本当にテレビ報道全体の深刻な問題だと思う」などと訴えた
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集会であいさつする立憲民主党の杉尾秀哉参院議員(写真右)。集会には100人以上が参加した

「7度5分まで下がったので国会事務所に来ました」「風邪が治らないまま国会へ」

   杉尾氏があいさつ冒頭で話題にしたのが、自らの体調だ。杉尾氏のブログには

「風邪を引きました。けさ熱っぽいので体温を測ったら38.4℃もありました。でも、国会日程や大事な地元の予定があり、休んでいる訳にはいきません。幸い自宅にあった解熱剤を飲んで少し寝たら、7度5分まで下がったので国会事務所に来ました」(2月12日)
「風邪が治らないまま国会へ」(2月13日)

とあり、体調不良をおしての集会出席だった。4分30秒ほどにわたるあいさつの冒頭、

「みなさんこんにちは。立憲民主党の参院議員の杉尾秀哉です。ちょっと風邪引いておりまして咳が止まんなくてですね、新型コロナではないので、ご安心いただければという風に思うのですけれども...」

などと話し、会場からは笑いが起こった。

河野氏の「雨男」は速報で紹介

   この時点では特にあいさつを問題視する声は上がらなかった。ただ、2月13日の夜には、新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて死亡したことが発表され、杉尾氏のあいさつは動画とともに拡散。あるツイートに掲載された動画は14日夕までに20万回以上再生されるなど広がりを見せ、14日未明にかけて批判の声が加速した。複数の「まとめサイト」もこの展開をあおった。

   批判のひとつが、与党の議員が批判されたこととのダブルスタンダードを指摘する声だ。代表例が河野氏の発言。河野氏は19年10月28日、

「私は雨男と言われた。私が防衛大臣になってから既に台風が三つ」

などと発言し、この日の「報道ステーション」(テレビ朝日)は「速報」で紹介。相次ぐ台風で大きな被害が出る中での発言で、富川悠太アナは

「雨で多くの方が亡くなっているわけですから、その雨をどんな理由であれ、笑いにかえるのは、間違っていると思います」

などと批判した。河野氏は10月29日の参院外交防衛委員会で「不快な思いをされた皆様にお詫び申し上げたい」と陳謝する一方で、被災地でもある千葉市の熊谷俊人市長は同日、

「被災地の首長として全く気になりません」
「いい加減、報道機関は『問題視される可能性もある』等の世論誘導的な文末の悪癖を直した方が良いと思います」

とツイートし、発言を問題視すること自体を問題視する声も出ていた。

   杉尾氏の事務所は今回のあいさつについて、現時点でも「問題ないと思っております」と回答。体調については「今はもう回復しております」とした。

杉尾氏「これは本当にテレビ報道全体の深刻な問題だと思う」

   今回杉尾氏があいさつした集会は新聞労連や民放労連でつくる「日本マスコミ文化情報労組会議」(MIC)が主催。「報道ステーション」の派遣ディレクター10数人が20年3月末で契約打ち切りを通告された問題がテーマで、TBS出身の杉尾氏は

「テレビ報道で働くすべての人にとって、旧ニュースステーション、報道ステーションと言うのは、特別な番組。新たなテレビ報道の地平を開いたと言ってもいいと思う」

などと、かつてのライバル局の番組をたたえた上で、

「テレビ朝日さんはかつて椿問題(以下参照)があり、ある意味政権のターゲットになってきた」
「ここでテレビ朝日の報道ステーションが、番組の性格が変わってしまったら、残るターゲットはTBSしかなくなる。TBSはまだ頑張っていると思うが、今度はTBSに政権の攻撃が来る」
「これは本当にテレビ報道全体の深刻な問題だと思う」

などと訴えた。

※椿問題
テレビ朝日の椿貞良取締役報道局長(当時)が1993年の民放連の会合で「今は自民党政権の存続を絶対に阻止して、なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」などと発言したとする議事録が問題になり、衆院から証人喚問された。椿氏は取締役と報道局長を解任され、テレビ朝日は郵政省(当時)から厳重注意する旨の行政指導を受けた。放送倫理・番組向上機構(BPO)が発足するきっかけになった。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)