新型肺炎、スポーツにも影…東京五輪・パラに影響も

 中国湖北省武漢市を中心とした新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受けて、米女子プロゴルフ協会(LPGA)が30日、中国・海南島で予定していたツアー大会「ブルーベイLPGA」の中止を発表するなど、スポーツ界への影響が急速に広がり、深刻化している。国際大会の中止や延期、日本選手の渡航取りやめだけでなく、中国選手の来日キャンセルも出始めた。

 日本ブラインドサッカー協会は31日、川崎市で2月8、9日に開催されるクラブチーム選手権に出場する予定だった中国のチームが不参加となったと発表した。大会を主催する同協会によると、中国側から「選手の安全面を考慮した」と連絡があったという。

 東京五輪・パラリンピックに影響しそうなケースも相次いでいる。2月に武漢で実施されるはずだったボクシングの五輪アジア・オセアニア予選は、3月にヨルダンのアンマンで争われることになった。選手たちの強化計画に狂いが生じる事態となり、女子フライ級の並木月海(自衛隊)は「早く(五輪出場を)決めて、本番に向けて調整したかった」と語った。

 ホッケーと水球の女子日本代表は、それぞれ中国合宿の中止を決めた。

 陸上では、2月のアジア室内選手権(杭州)の中止が決定し、3月の世界室内選手権(南京)は延期。いずれも、獲得ポイントが五輪出場にかかわる世界ランキングを左右するため、極めて重要な大会だった。

 4月下旬に武漢で開かれる予定のバドミントン・アジア選手権は、現時点で中止の連絡はないものの、日本バドミントン協会は開催の見通しについて問い合わせており、回答待ちだ。

 サッカーでは、五輪の女子アジア最終予選グループリーグB組の開催地がいったん武漢から南京に変更され、最終的に豪州となった。アジアチャンピオンズリーグは日程を入れ替え、中国チームのアウェー戦を先に実施することで対応。ホーム試合の実施は今後の状況を見て判断するという。あるクラブの関係者は「Jリーグの日程もあるので、難しい調整が必要。過密日程を覚悟しなければならないかもしれない」と話した。

 2022年北京冬季五輪のテスト大会を兼ねた2月の延慶でのアルペンスキー男子ワールドカップは、オーストリアに会場変更。混乱は大きくなる一方で、日本オリンピック委員会(JOC)は加盟団体を通じ、情報収集を急いでいる。