https://cdn.mainichi.jp/vol1/2020/01/31/20200131k0000m040161000p/6.jpg?1
透過型電子顕微鏡でとらえた新型コロナウイルス=GISAID Initiative提供

新型肺炎 中国の感染者1万人に迫る 外国足止めの湖北省出身者を武漢移送へ

by

 中国湖北省武漢市で発生した新型ウイルスによる肺炎について、中国国家衛生健康委員会は1月31日、中国本土の死者は213人(前日比43人増)で、感染者は9692人(同1982人増)となったと発表した。中国メディアの集計では9782人。2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)は世界全体の感染者数が計8096人(うち中国本土が5327人)で、新型肺炎の感染者が中国本土だけですでに上回っている。

 一方、各国が武漢市から自国民を退避させる飛行機を派遣する中、中国外務省は31日、外国に足止め状態などになっている湖北省出身者を武漢市へ移送する方針を発表した。東京の中国大使館のホームページでも同日、2月1日未明の羽田空港からの出発予定で募集が始まった。

 また世界保健機関(WHO)が「緊急事態」を宣言したことについて、国家衛生健康委員会は31日、「中国政府は感染対策を非常に重視しており、既に最も厳格な措置を実施している。国際社会が中国の取り組みを理解し、支持するよう希望する」とのコメントを発表した。

 中国では延長された旧正月(春節)の連休が2月2日に終わり、都市部へのUターンラッシュで感染が広がらないか懸念する声が上がる。中国メディアによると、感染リスクを減らすため、31の省・自治区・直轄市のうち、上海市や広東省など半数以上が域内の企業に原則9日(湖北省は13日)まで休業を延長するよう求めている。【北京・河津啓介】