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徳島県庁=徳島市万代町で、松山文音撮影

徳島の高齢者施設で男女5人死亡 ヒトメタニューモウイルス感染か

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 徳島県は31日、同県阿波市の介護老人保健施設「しょうか苑」で1月16~22日、肺炎などの症状で入所者の高齢男女5人が死亡したと発表した。施設では1月になってから肺炎などの原因となる「ヒトメタニューモウイルス」の集団感染が起きており、5人も感染していた可能性があるという。

 県などによると、施設では1月6日以降、入所者78人のうち36人が次々と発熱やせきなどの症状を訴えた。インフルエンザなどの集団感染を疑った施設側は病院に入院させたり、面会制限させたりしたものの、16~22日に80代~100代の男性1人、女性4人が相次いで死亡した。

 施設は22日に県吉野川保健所に連絡。調べたところ、28日までに17人からヒトメタニューモウイルスの陽性反応が出た。県によると同日段階で8人が入院、23人が施設内で治療を受けており、現在も5人が入院中という。保健所は感染拡大の防止を施設に指導。他の施設などにも注意を呼びかけている。

 新潟大の斎藤玲子教授(ウイルス学)によると、ヒトメタニューモウイルスは、風邪の原因となることで知られ、3~4月の春先に流行することが多い。発熱や関節痛、せき、鼻水などインフルエンザに似た症状が特徴で、患者のせきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)を通じて感染が拡大する。薬やワクチンがないことなどから重症化し、肺炎を起こすこともあるという。

 幼児に多いとされるが、斎藤教授は「体力が落ちた高齢者が集団で生活している施設でも集団感染は十分にありうる。インフルエンザでなかった場合、この感染症も疑うべきだ」と指摘する。感染した場合は休養と水分を取り、症状を抑える薬を使う対症療法が中心。手をよく洗うことで予防できるという。【岩本桜、渡辺諒】