警戒強める鉄道各社 マスク着用や手洗い徹底 新型肺炎対策を本格化
by 毎日新聞新型コロナウイルスによる肺炎の拡大で、訪日客も大勢が利用する鉄道事業者は警戒を強めている。国土交通省は鉄道を含む公共交通事業者に対し、従業員のマスク着用や手洗いなどの徹底、感染した場合の速やかな報告を求めている。密閉空間である鉄道車両は「濃厚接触」が起きやすいだけに、関西の鉄道各社も対策を本格化させている。
31日午後、大阪市の南海難波駅。関西国際空港からの特急「ラピート」が到着し、マスク姿の観光客らが次々と改札口を通過した。見守る駅員もマスク姿だ。
南海は前日に新型コロナウイルスの対策本部を設置。乗客と接する可能性のある全ての駅員、運転士、車掌らにマスク着用を義務づけた。担当者は「手洗いの徹底など可能な対策をとっていきたい」と話す。
香港から観光のため到着したばかりのジャクソン・ラウさん(25)は「日本でもマスクを購入するのは難しいと聞き、1週間の滞在中に必要な数を何とかかき集めてきた」と苦笑い。バンコクからの出張帰りという大阪市中央区のメーカー社員、伴佳祐さん(32)は「マスク姿の外国人をこんなに見たのは初めて。帰国の機内は誰かがせき込むたび、緊張に包まれていた」と振り返った。
関西ではJR西日本も1月30日に新型コロナウイルスの対策本部を発足させ、駅員らにマスクの着用や手洗いを徹底。阪急や大阪メトロなども同様の取り組みに乗り出した。
国交省は、航空会社やバス事業者にも同様の対応を求めている。【高橋昌紀】