10~12月鉱工業生産4.0%低下 輸出・設備投資が低調
経済産業省が31日発表した2019年10~12月期の鉱工業生産指数速報(2015年=100、季節調整済み)は前期比4.0%低下し98.4だった。2四半期連続の低下だった。輸出や設備投資の減速が響いた。1月と2月の企業の先行き予測は上昇を見込むものの新型肺炎の影響が反映されておらず、不透明感が残る。
10~12月期の4.0%低下は現行基準で統計がさかのぼれる2013年以降で、過去最大の下げ幅だった。7~9月期の0.5%低下から下げ幅を拡大した。業種別では半導体製造装置などの生産用機械が3.5%低下したほか、自動車も7.6%低下と低調だった。
経産省は台風19号の被害で部品供給が滞るなどの影響は一巡した一方で「輸出や設備投資に弱さがある」と分析した。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏は、消費財の落ち込みの大きさを理由に「国内消費の落ち込みも生産に影響している」と指摘する。
12月単月では、生産が1.3%上昇と3カ月ぶりに前月を上回った。ただ10~11月の減産分を取り戻すだけの力強さはなく、経産省は生産の基調判断を「弱含み」のまま据え置いた。
12月の出荷は96.4と横ばい、在庫は前月比1.6%上昇し105.0だった。在庫は現行統計でさかのぼれる13年以降で最高水準だ。経産省は「化学や自動車などでは、将来の需要増に備えて意図的に在庫を積み増しているとの声もある」としている。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、20年1月は前月比3.5%の上昇、2月は4.1%上昇と見込む。調査を行った時点では、中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の影響は反映されていない。
農林中金総合研究所の南武志氏は「中国が一段と強権的な施策を打てば、中国国内の生産停止が長期化したり需要減が強まったりして、影響が及びかねない」と指摘していた。