「光武帝」「お兄ちゃん」武漢の病院建設中継、「あだ名」で応援する中国ネット民 日本アニメ由来も
新型コロナウイルスによる肺炎が流行している中国・武漢では現在、感染者を収容するための新しい病院の建設を24時間体制で進めている。
建設の様子はネットで24時間生配信されているが、外出を制限されている中国全土からの注目を集め、工事車両にあだ名をつけて応援することまでトレンドになっている。
工事現場に立つ3本の木は「呉三桂」
武漢市内では新型肺炎に対応するために「火神山病院」と「雷神山病院」の2つの病院の建設がそれぞれ2020年1月23日と25日に始まった。建設工事は昼夜を徹して続き、工事の様子は中国の国営放送「中央広播電視総代」の映像配信アプリ「央視頻」で24時間ライブ中継されている。
交通が規制され不要不急の外出も抑制されている中国国内では、1月31日までにこの建設工事をのべ6000万人以上が視聴しているが、「武漢加油」(武漢がんばれ)といったコメントに混じって、工事車両や設備にあだ名がつけられるようになった。それも中国の歴史上の人物をもじったものが多く、例えば現場を照らす照明灯は「光」にちなんで「光武帝(後漢の初代皇帝)」「光緒帝(清の11代皇帝)」、白いプレハブの建物は「白居易(唐代の詩人)」といった具合で、ただ工事現場に立っているだけの3本の木にも「呉三桂(明~清代の武将)」というあだ名が付けられている。
また逆に「かわいい」あだ名が付けられる車両もあり、赤いダンプカーにはその色から「紅牛哥哥」、和訳すると「レッドブル兄貴」といったニュアンスの名前が付けられ、ミキサー車には「嘔泥醤」というあだ名が付けられた。これは日本語の「お兄ちゃん」の発音を中国訳の際にそのまま「欧尼醤」という漢字で表現したものをさらにもじった言葉で「泥吐きお兄ちゃん」のようなニュアンスが込められている。そしてミキサー車が2台隣り合って停まっていると、「お兄ちゃんがひそひそ話をしてる」と擬人化して楽しむようなネットユーザーも現れた。
擬人化で応援する「現場監督」たち
擬人化もトレンドになっているようで、昼も夜も見かける青色のショベルカーには、「寝食を忘れて働いてる」とコメントが付き、「藍ちゃん」(小藍)、さらには中国のアニメ『魔道祖師』の男性キャラクターと同じ名前で「藍忘機」と呼ばれるようになった。あだ名をつけた工事車両の擬人化イラストを中国のSNS「ウェイボー(微博)」に投稿したり、工事車両をチームに例えたハッシュタグをつけて病院建設を応援している。央視頻や微博に投稿されるコメントも、
「光武帝はいつ現場にいらっしゃる?」
「紅ちゃん疲れたでしょう?」
「黄ちゃん一生懸命働いてて可愛い」
といったものが見受けられる。こうして建設風景を視聴しているネットユーザーは自分たちのことを「現場監督」(監工)と自称し、「河北から現場監督来ました」「四川からオンラインしました」「重慶の現場監督、ただいま実況中」などのコメントで同時実況の一体感を高めているようだ。