新型肺炎公表前に警鐘鳴らした医師を処分、武漢市当局に批判の声
【瀋陽=東慶一郎】中国誌・財新(電子版)は31日、新型コロナウイルスによる肺炎の流行が公表されるより前に事実でない情報を広めたとして、湖北省武漢市の公安当局から訓戒処分を受けた男性医師(34)のインタビューを報じた。医師は「肺炎流行への警鐘を鳴らそうとした」と主張しており、インターネット上では当局の対応を批判する声が上がっている。
財新の報道によると、医師は昨年12月30日、自身が勤務する武漢の病院で、患者の検査結果が重症急性呼吸器症候群(SARS)の陽性反応を示していたことを知った。このことを約150人の同窓生が参加するSNSのグループチャットに「7人がSARSと診断された」と投稿した。当時、武漢市は肺炎患者の発生について公表していなかった。
この投稿が問題視され、医師は12月31日に病院幹部から事情聴取を受けた。今年1月3日には当局に呼び出され、「事実でない情報を広め、社会秩序を乱した」として、訓戒処分を受けたという。医師は「情報を捏造(ねつぞう)したわけではない。周囲に注意を呼びかけようとしただけだ」と語った。
公安当局は1月1日、同様の容疑で8人を摘発したと発表していた。ネット上では、8人全員が医師だったという情報が出回っており、「政府の情報公開が迅速でないことが問題で、むしろ彼らに敬意を表すべきだ」などとの意見があふれている。