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講演後、花束を贈られる吉野彰・旭化成名誉フェロー=福岡市西区の九州大で2020年1月31日午後2時57分、田鍋公也撮影

ノーベル化学賞受賞の吉野さんが九大で講演 「学生時代にしておくべきこと」語る

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 ノーベル化学賞を受賞した旭化成の吉野彰名誉フェロー(72)が31日、福岡市西区の九州大で記念講演した。学生や市民ら約1300人が集まり、失敗を重ねながらリチウムイオン電池(LIB)が誕生した話などに聴き入った。

 吉野さんは「最重要課題は安全性の確立だった」とLIB誕生までの苦労話を披露。現在、LIBがさまざまな分野で活用されていると報告し「2025年にはAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など新技術によって生活に大きな変革が始まる」と述べた。

 「学生時代にしておくべきことは」と聞かれた吉野さんは、33歳でLIB研究を始めたことを踏まえ「35歳前後は人生で何か大きなことをしようと挑戦できる時期。そこに向けて自分に投資してほしい」と語った。

 同大大学院総合理工学府修士1年の佐藤寛基さん(23)は「失敗を繰り返しながらも研究を進めた話が印象に残った。将来は自動車に搭載する電池の研究に取り組みたい」と話した。【吉川雄策】