「中国人だからといって差別的な対応を取るのは非理性的」新型コロナウイルスめぐり、医師が冷静な対応呼びかけ

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 日本国内でも新たな感染が次々とみつかっている新型コロナウイルス。政府は28日、「指定感染症」「検疫感染症」にすることを閣議決定。施行後の2月7日からは医療費の公費負担に加え、患者の強制入院・就業制限・濃厚接触者の調査が可能になる。併せて、感染が疑われる人に診察・検査・消毒を受けさせることも可能だ。

 そんな中、安倍総理の「2名の人がウイルス検査を拒否した、大変残念なことではあるが、法的な拘束力はないということで、残念ながらこういう結果になった」という説明が注目を集めた。29日、武漢からの第1便で帰国した206人のうち、症状のない2人がウイルス検査を拒否し、帰宅したことに対し、ネット上には“なぜ返した”“拒否した人の住所をさらせ”“拒否した人の人権て、接触する人たちの人権は?”といった声が挙がったのだ。

 しかし厚生労働省によると、2人は30日になって「検査を受けたい」と申し出たという。人々の間で高まる不安と、政府により厳しい措置を求める声。30日のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した神戸大学医学研究科感染症内科教授の岩田健太郎氏は「チャーター機で帰国された人については健康調査をし、感染症が起きるかどうか潜伏期間中は監視するという、今までも行われてきた、非常に理にかなった方法を取っている。一般の住民が心配をする必要は全くない。検査拒否の話もあったが、一般論として患者が検査を受けたくないという場合、我々医療者が無理やり検査をすることは絶対にできない。それでも健康の監視は行われるので、ヒステリックに騒ぐ必要はない。

私は2003年、SARSの流行ど真ん中の北京に住んでいた。この時、中国では何千人という患者が発生し、死亡率も約10%に達していたが、人々とすれ違ったから感染するのではないかと恐れたことはない。アフリカでエボラ出血熱が流行った時もアフリカに居たが、感染経路を理解していたし、感染するなんて思わなかった。ほとんどの中国人は武漢への渡航歴もなければ、ウイルス曝露もない。だから中国人だからということで差別的な対応を取るというのは非理性的だと言わざるを得ない」と話す。

 「ネットでネガティブなことを騒ぐような人というのは、いつも中国人のことを悪く言いたい人。今回も、いい機会だと思って便乗しているだけだ。調べてみると、ネットで騒ぐ人はそんなに多くはないし、多くは中国人に対して中立的、ニュートラルな考え方を持っていると思う。むしろ問題なのは、チャーター便ではなく、健康監視の対象にもなっていない人が肺炎になった場合に早い段階で捕捉し、国内での広がりを抑えることができるかだ。それがうまくいかなくなってしまうと、武漢のように何百人、何千人という患者が発生し、悲惨な状況になる。ただ、そうした二次感染は現時点で日本も他国も抑え込まれている。いわば瀬戸際なので、ここが頑張りどころだ」。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
 

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