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ロシア反ドーピング機関のモスクワの検査所で検体を手にする職員=2016年5月、AP

露4年間出場禁止 東京五輪・パラは個人資格出場のみ WADA処分決定

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 ロシアの組織的なドーピング不正に絡むデータ改ざんを巡り、世界反ドーピング機関(WADA)は9日、スイス・ローザンヌで臨時常任理事会を開き、ロシア選手団の主要大会への出場を4年間禁止する処分を全会一致で決めた。決定には強制力があり、東京五輪・パラリンピックへのロシアの国としての出場は厳しくなった。潔白を証明した選手に限り、個人資格での出場を認めるが、国旗の使用は禁じる。

 決定によると、主要大会には各競技の世界選手権やサッカーの2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会なども含まれる。大会開催や招致も認めず、予定される大会の開催権も剥奪する。スポーツ界の処分では過去最大級だが、同様に個人資格での出場を認めた昨年の平昌五輪・パラリンピックには計約200人が出場しており、影響は限定的だとの見方もある。

 ロシアの国ぐるみの不正は14年12月のドイツ公共放送ARDの報道で表面化。WADAは15年11月、規定を順守していない「不適格組織」としてロシア反ドーピング機関(RUSADA)を処分した。WADAは昨年9月、モスクワの検査所が保管するデータなどの提供を条件に約3年ぶりに処分を解いたが、提供されたデータに改ざんや捏造(ねつぞう)が確認された。

 WADAによると、ドーピング違反の疑いのある分析結果が数百カ所も削除され、関連文書やデータも消去、改変されていた。データは提出期限を過ぎて出てきたが遅延の間にも改ざんが加えられ、不正は145選手分に及んでいた。

 RUSADAは決定通知から21日以内にスポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議を申し立てることができる。ロシアのメドベージェフ首相はCASに訴えるべきだとの考えを示した。【ローザンヌ倉沢仁志】