乙女向けの『KOFG』は格ゲー好き『KOF』男性ファンも楽しめるのか?元ネタを知ってるほどニヤリとできる、その魅力を検証してみた
2019年11月、ビクターエンタテインメント・ゲームズからiOS/Android向けアプリ『THE KING OF FIGHTERS for GIRLS』が配信されました。ファンならやらなきゃもったいない本作を、格ゲー好きの編集部にプレゼンしてみました。
by 《タカロク》2019年11月、ビクターエンタテインメント・ゲームズからiOS/Android向けアプリ『THE KING OF FIGHTERS for GIRLS(KOFG)』が配信されました。本作は人気格闘ゲーム『ザ・キング・オブ・ファイターズ(KOF)』シリーズの男性キャラが女性向けゲームに登場するということで大きな話題となり、グッズなどを販売する関連ショップにも多くの人が訪れています。
『KOF』等のSNKゲームの記憶は幼少期の頃のおぼろげなものしかなかった筆者ですが、『KOFG』をプレイし始めた所、面白くてすっかりはまってしまいました。そして関連イベント取材や展示、ショップを駆け回った際に、目にしたり耳にしたりするのが『KOF』の男性ファンの姿や声。
『KOF』は長い間愛され続けているゲームではありますが、「女性向けコンテンツは手を出しづらい」と感じる男性ファンも多いかと思います。とはいえ、『KOF』ファンなら、『KOFG』もプレイしなきゃもったいない!むしろ、「元ネタのKOFを知っていたら、さらにKOFGも楽しめただろうなぁ」とすら感じます。
そこで『KOF』のプレイ経験がある格ゲー好き編集部、ねんね太郎さんに『KOFG』をプレゼンしてみました。
タカロク:ということで『KOFG』をおすすめしたくやってまいりました。ちなみにねんね太郎さんは『KOF』ではどのキャラを使ってたんですか?
ねんね太郎:「オロチ編」が青春ドストライクだった自分としては、やはり京と庵は外せないですね。『KOF』はキャラクター数が多いから、毎回ランダムでチームをエディットして遊ぶという方法も地元では流行ってました。
タカロク:クククッ……ハッハッハ……ハァーハッハッハッハ!では早速『KOFG』をプレゼンさせてもらいますね。
ねんね太郎:(え、なにこれ怖い。)
◆キャラが掘り下げられて書かれたストーリー
『KOFG』でまずおススメしたい点、それはなんといってもストーリーです。格闘ゲームはキャラ数や容量の関係もあって、ストーリーが簡略化されることが多いもの。だからこそ考察したり、その後に出る小説やコミカライズが面白いというのもあるのですが……。しかし『KOFG』は、ノベルゲーとまでは言いませんが、アプリゲーのシナリオとして充分な読み応えがあります。
『KOFG』は会社が倒産してしまい、住み込みで大門道場の管理人になるという女性が主人公。草薙京、二階堂紅丸、矢吹真吾といった京チームのマネージャーになるのですが、KOFの開催で大変な事態に巻き込まれることに……というのがストーリーのおおまかな流れです。
シナリオはメインもサイドストーリーも含めて、それぞれのキャラクターたちの心情や関係性がしっかり書かれています。個人的にはどんな悩みや思い、過去を抱えて戦っているのかはもちろん、キャラ同士の会話やファンと交流している姿などは、本編である『KOF』ではなかなか見れないのでは?と思いました。
既存の登場キャラは草薙京、二階堂紅丸、矢吹真吾、テリー・ボガード、アンディ・ボガード、ジョー・東、リョウ・サカザキ、ロバート・ガルシア、包、K’、マキシマ、ビリー・カーン、八神庵。攻略対象外で大門五郎、椎拳崇、山崎竜二、キム・カッファン、ジョン・フーン、チャン・コーハン、チョイ・ボンゲがいます。そして『KOFG』オリジナルキャラのヨミ、ナギ。ナギはKOFの主催者でもあるので、どんなキャラかはお察しください。
◆ゲームはシンプル、ボイスは熱い
『KOFG』のバトル要素は、キャラクターのレベルを上げる「トレーニング」と、CPU戦を行う「ファイト」の二種類で構成されています。「ファイト」は各キャラクターを「応援」することで親愛度の上昇率がアップしますが、基本オートで進みます。良くも悪くも眺めるだけですが、何かをしながらプレイできる人は相性がいいかもしれません。
とはいえ、2Dのキャラはとても可愛いく作られています。動きも細かく、各キャラ2パターンの動きがあって、見ていて楽しいです。欲を言えば着せ替え要素もほしいですけどね……。
「ファイト」ではキャラクターが技を出してくれるので、みんな大好き「覇王翔吼拳」や「バーンナッコー」もボイス付きで見ることができます。ボイスが格ゲークオリティのため、可愛いキャラたちからすごい雄叫びや断末魔が聞こえてくるのもポイントです。
あと女性向けっぽい要素として「交流」と「SNS」があります。「交流」はキャラに触れると親愛度に応じて台詞を言ってくれるのですが、苦労をねぎらってくれたり、やたらギース様の話をされたりとキャラの個性が出ます。
「SNS」はネコちゃんのスタンプを送る事で反応を見ることができます。こちらもキャラの個性が見える返答パターンが複数あったりして、見ていて飽きません。ネコちゃんのスタンプはかわいいのでぜひ配信してほしいところです。
◆主人公やキャラの設定、ファンへの配慮も
とはいえ、『KOFG』は女性向けゲーム。主人公とキャラの恋愛過程を見ていくのは…と心配なそこのあなた!恋愛色については、所感ですがメインストーリーはみんな優しいお兄さんたちぐらいのレベル。むしろ一部の人は厳しいというか、草薙京しか見えていません。恋愛色が濃いものは全て各キャラのサイドストーリーに集約されており、このサイドストーリーがいわゆる個別ルートのようになっています。原作で恋人がいるキャラもいるため、「ほかの女(※注:主人公)との浮気は見たくない」という方は、そのような展開をスルーしてメインストーリーを進められるというのもポイントです。
そして、ありがたいことにプレイヤー名と主人公名を別に設定できます。主人公の叔父のポジションで乙女ゲーをプレイする筆者も気持ち的に大変助かりました。主人公名は名字と名前が別になっていて、好きな名前を付けるもよし、ツイッター映えするおもしろ名でもよし、デフォルト名でもよし、です。
ちなみにデフォルト名は「三峰ゆかり」。三峰はおそらく埼玉県秩父にある三峰神社から取ったのではないかと思いますが、微妙にネタバレ要素があるので調べるならお気を付けください。
タカロク:というわけで、『KOF』初心者ではありますが、『KOFG』おすすめポイントをお伝えさせていただきました……どうでしょう?
ねんね太郎:既存キャラの性格が崩壊してないかどうかは気になってたんですよね。庵とかちゃんと「そのまま死ね」とか、三段笑いとかしてくれるんかな~って。
タカロク:三段笑いはカードを覚醒した時にしてくれますよ~。庵さんは元々色々設定盛りだくさんの方ですが、特にゲームのイメージを崩さないよう作られている気がします。そういえば「ボディがお留守だぜ」の源流が草薙さんだったことを初めて知りました。
ねんね太郎:あー、格闘ゲームで使われるようなセリフが上手く日常会話に散りばめられてるんですね。
タカロク:あとは真吾の「真吾キーック!」「俺って進歩ねぇえええ!」とかもありますね。「ファイト」だと特にビリーさんと庵さんは何言ってるか分からないです。ちなみに『KOFG』は先日キャラソンアルバム「KING OF FIRE」が出たんですが、ビリーさんはラップをしてます。
ねんね太郎:ビリーがラップ……。そういえば不知火舞やユリ・サカザキ、レオナ、アテナ、クーラ等の女性キャラは『KOFG』には出てるんですか?
タカロク:今の所出てません。ビリーさんとリョウさんのプロフィールの「大切なもの」欄に妹の記載があるぐらい。そういえば去年『SNKヒロインズ』にテリーさんと庵さんが出たんで、男体化して出る可能性が0とは言えないですね……。
ねんね太郎:なるほど。あともともとの『KOF』を知っている人だからこそ、思わず『KOFG』で笑っちゃうような要素とかあります?
タカロク:笑っちゃうかは分からないんですけど、マキシマさんのスイーツ好きとか、包くんとK’のゲーム好き、ビリーさんの洗濯好きとかはかなり描写されてますね。小ネタも色々。
ねんね太郎:あー、キャラのプロフィールをちゃんと読む人だと、色々ニヤッとできそう。
タカロク:ねんね太郎さんから見て、ビジュアルとか雰囲気が一番変わって見えるキャラはいます?
ねんね太郎:いや、全体的にそこまで違和感は無いですね。元々『KOF』のキャラは美形揃いだし、「あー、乙女ゲーっぽくしたらこんな感じかも」って素直に受け入れてます。
タカロク:確かに元々のビジュアルもめちゃくちゃかっこいいですもんね……。そういえば庵さんのバトルモーションが2パターンとも上半身なんですけど、あまり蹴り技がない人なんですか?元の服もズボンの紐繋がってるし。
ねんね太郎:まあ必殺技は手を使うものが中心かな。とはいえ、足払いのリーチはめっちゃ長いし、「百合折り」っていう代名詞みたいな足技もあるから、蹴りが苦手ってわけじゃあないかなーと。
タカロク:そうなんですね!勉強になりました!あとジョー・東さんは上を着ないんですか?着ないポリシーがあるのでしょうか?
ねんね太郎:ん、なんで?
タカロク:大門さんにはTシャツ差分絵があるのに、ジョーさんは常にあの姿なんですよ。ドウシテ……。
ねんね太郎:あの人、いつもパンツ一丁だからなあ……。昔は勝利ポーズで尻を出してたこともあったし。
タカロク:あのハリケーンアッパーのジョーが!?
ねんね太郎:格ゲー勢としてはついつい、『KOFG』での尻実装を期待してしまいます。
タカロク:審査とか色々大丈夫かな……?実際の『KOFG』のジョーさんは太陽のようで真っ直ぐな人なので、気になる人はぜひプレイしてみてくださ~い!