Uber、初の米国での「安全性レポート」公開 過去2年間で464件のレイプ報告

Uberが同社初の米国内の「安全性レポート」を公開した。サービス中のレイプ(被害者がドライバーの場合を含む)の報告件数は、2017年は229件、2018年は235件だった。サービス件数はこの2年で約23億件だ。

by

 米Uberは12月5日(現地時間)、同社として初の「安全性レポート」を公開した。2017年と2018年に米国での同社サービス上で発生した安全に関わる問題についてのこのレポートの中で、期間中に5981件の性的暴行があったと報告した。

 この2年間の米国でのトリップ(サービスのこと)回数は23億件であり、99.9%以上のトリップは安全だと同社は強調した。

 このレポートは、2017年8月にCEOに就任したダラ・コスロシャヒ氏が約束した安全性強化の取り組みの一環だ。

 レポートの公開に約2年かかった理由として、これまで性的暴行の報告に関する業界標準がなく、第三者機関の協力の下、新たな分類システムを構築していたためと説明した。構築した分類システムを今後米国以外の地域でも採用し、安全レポートを公開していく計画としている。

 性的暴行は5つのカテゴリーに分類されており、例えば手など性的ではない部分にキスすることも、ユーザー(ドライバーおよびライダー)から報告があった場合は性的暴行にカウントされている。なお、発生件数は2018年の方が多いが、トリップ回数当たりの発生頻度でみれば、2017年より2018年の方が低下している。

https://image.itmedia.co.jp/news/articles/1912/09/yu_uber.jpg
性的暴行のカテゴリー別発生件数(資料:Uber)

 最も深刻な実際のレイプ行為についての報告数は、2017年は229件、2018年は235件だった。これらのうち、3分の2は警察に報告されていないことについて、コスロシャヒ氏は米Washington Postによるインタビューで、犠牲者に警察に通報するよう勧めるが、最終的には本人の意思を尊重しているためだと語った。

 同社は2014年にインドでのドライバーによるライダー(乗客)のレイプ事件とその事件をめぐる不正行為の発覚などで批判され、創業者であるトラヴィス・カラニックCEO(当時)は2017年8月に退陣、コスロシャヒ氏が新CEOに就任した。

 安全性レポートではその他のデータとして、物理的暴行による死亡事故の報告件数は2017年に10件、2018年に9件で、そのうち12件はライダーが加害者だったこと、交通事故での死亡者数は2017年が49人、2018年は58人だったことなどが公開された。

 同社は今後も2年ごとにレポートを公開していく計画だ。