新連載・コンビニオーナー“大反乱”の真相:コンビニおでん「無断発注」「販売中止」問題が暴く画一的ビジネスの限界 (1/4)
冬のコンビニの人気商品・おでんに異変。無断発注問題や店舗によっては販売休止の動きも。オーナーへの生々しい現場取材を通じてその真因を追う。
by 北健一,ITmedia長く小売業態で一人勝ちを続けてきたコンビニで、異変が起きている。業界の“鉄則”だった24時間営業を辞める店が広がり、本部側も時短を容認するようになったのがその象徴だ。従来の「コンビニの常識」を、“オーナーたちの反乱”が揺るがしている格好と言える。
この異変は、「コンビニ本部VSフランチャイズ加盟店オーナー」という側面だけでは理解できない。消費者ニーズやコンビニを巡る競争構造の変化も絡んでいる。私たちが愛用してきた「近くて便利」なコンビニはどこに向かうのか。まずは、コンビニの人気商品・おでんを巡る不祥事や、置かない店舗が広がっている異変に迫る。
無断発注被害「オーナーはみんな経験」
外出すると寒さを感じるようになる季節、コンビニのレジ前にはおでんの香りが立ち上る。おでんは、秋冬のコンビニを象徴する主力商品といっていい。例えば業界トップのセブン-イレブン・ジャパン(以下セブン)は1977年からおでんを販売。「おでんを世界で初めて発売したコンビニは、実はセブン-イレブン」と誇り、店頭での販売に力を入れてきた。
セブンの場合、おでんの工場は全国65カ所。人気ナンバー1はだしの染みた大根で、販売数は年間5400万個にも上る。低カロリーでヘルシーなのも人気の理由だ。
この秋、そのおでんで不祥事が起きる。11月15日、セブンは、加盟店の指導に当たる本部社員2人が、オーナーに無断で加盟店のおでんを発注していたことを明らかにし、社内規定違反で懲戒処分したと発表したのだ。今回発覚した不正があったのは5月以降のこと。オーナーがいない時、発注業務などに使うストアコンピュータを操作して発注していた。
「数字を作るための無断発注は、オーナーはみんな経験してますよ。上司向けの資料のために、仮発注を頼まれることもあります。店舗指導しながら発注を入れていく本部社員もいます」(首都圏の大手コンビニ店オーナー)という声もあり、問題の根は深い。
コンビニ店のほとんどはフランチャイズ加盟店で、本部とは独立しており、仕入れの権限も店にある。本部社員といえども、勝手に発注するのはご法度だ。しかも、売れ残った商品を廃棄すると、その損失はほとんど店が被ることになる。
2人はなぜ、不正に手を染めてしまったのか。