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筒香の早期申請は功を奏するか【拡大】

【ダッグアウトの裏側】筒香のポスティング移籍、“異例”早期申請のウラ事情 今オフFA市場は長期戦の様相

 異例ともいえる早期申請の成否に注目している。MLB(米大リーグ機構)は18日(日本時間19日)、ポスティングシステムの申請手続きを行ったDeNAの筒香嘉智外野手(28)について、全30球団に契約可能選手として通知したことを公表。交渉期限はクリスマス前の米東部時間12月19日午後5時(同20日午前7時)となった。

 ポスティングシステムではこれまで、12月に入ってからの申請が定石とされてきた。チーム編成の責任者であるGMの立場で考えると分かりやすい。フリーエージェント(FA)市場に同じポジションの有力選手が残っていたら、譲渡金が発生する上にメジャーでの実績がない日本選手に触手を伸ばさないだろう。

 ただ、今オフはFA市場の動きが史上最も遅くなると予想されている。敏腕代理人のスコット・ボラス氏がアストロズのコールら多くの大物選手を抱えており、交渉の長期化は避けられない。同氏の越年決着は珍しくなく、昨オフの目玉だったハーパーがフィリーズと13年契約を交わしたのはオープン戦開幕後の3月2日だった。

 ポスティングシステム申請の締め切りは来月5日。そこまで待っても、大物FA選手の移籍先が決まる可能性は少ない。しかも、全30球団がボラス氏が代理人を務める大物選手と交渉するわけではない。早期申請をしても筒香獲得に動く球団はあるという手応えを代理人のジョエル・ウルフ氏は得ているのではないか。米メディアは移籍先候補としてレイズ、ブルージェイズ、ホワイトソックス、インディアンスなどを挙げている。

 ウルフ氏が「移籍先を選ぶか、DeNAに戻るかを決められる」とメドにしたのが、12月9-12日にサンディエゴで開催されるウインターミーティング。球団幹部が一堂に会する場で、早期申請の成否が決まる。

 ■田代学(たしろ・まなぶ) サンケイスポーツ編集局次長。1991年入社。プロ野球や五輪担当などを経て、2001年から13年11月まで米国駐在の大リーグ担当キャップ。全米野球記者協会の理事や、13年ワールドシリーズの公式記録員を日本人記者で初めて務めた。米国での愛称は「ガク」。