育休後に雇い止め、2審はマタハラ認めず…「報道機関に事実と異なる情報」
育児休業後に正社員から契約社員にされた後、雇い止めにされたのは「マタニティー・ハラスメント」にあたるとして、語学学校で勤務していた女性(38)が、運営会社の「ジャパンビジネスラボ」(東京)に社員としての地位確認などを求めた訴訟の控訴審判決が28日、東京高裁であった。阿部潤裁判長は、雇い止めを無効として未払い賃金などの支払いを命じた1審判決を変更し、請求を棄却する判決を言い渡した。
判決によると、正社員だった女性は2013年に出産し、14年9月の育休終了後に契約社員となった。女性は改めて正社員にするよう求めたが、同社は応じず、1年で雇い止めにした。
判決は「女性は自らの意思で契約社員を選択した」と判断。その上で、女性が同社をマタハラ企業と印象づけるため、報道機関に事実と異なる情報を提供したなどと認定し、「雇い止めには合理的な理由があった」と結論付けた。
また、女性が提訴時の記者会見で「子を産んで戻ったら、人格を否定された」などと発言したのは真実ではなく、同社の名誉を傷つけたとして、女性に55万円の賠償を命じた。同社に対しても、女性の個人情報を外部に提供した行為がプライバシー侵害にあたるとして、5万5000円の支払いを命じた。
昨年9月の1審・東京地裁判決は、「雇い止めに合理的な理由はなかった」として、女性に契約社員としての地位を認めていた。
同社の杉村貴子社長は判決後の記者会見で「マタハラと言われて苦しかったが、違法性がないと認められて安堵(あんど)した」と述べた。女性は「裁判で救われないなら、当事者はますます泣き寝入りするしかない」と話した。