北海道知事、IR誘致見送り表明 候補地で初

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29日午前の北海道議会の一般質問でIRの誘致見送りを表明する鈴木直道知事=共同

北海道の鈴木直道知事は29日午前の道議会で、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致申請を見送ると表明した。国の調査に対して誘致を表明または興味を示した全国8地域のうち、誘致の見送り表明は北海道が初めてとなる。手を挙げれば有力候補になるとみられていただけに、最大3地域が認定されるIRの誘致競争の行方にも影響を与えそうだ。

鈴木知事は道議会でIR誘致について「候補地は希少な動植物が生息する可能性が高く、区域認定までの限られた期間で環境への適切な配慮を行うことは不可能」とし、「今回の認定申請は見送る」と答弁した。

道内では3地域がIR誘致に名乗りを上げていた。道はこのうち、新千歳空港(千歳市)に近く用地も確保できて最も大きな経済効果が見込めるとみて苫小牧市内を優先候補地に選定。誘致の検討を続けていた。

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北海道は苫小牧市をIRの優先候補地としていた(苫小牧IR推進協議会のイメージ)

開業時の投資額は2800億~3800億円と試算されていた。米国などの有力事業者が続々と参画の意思を表明し、地元に拠点を設けていたほか、地元財界も支持を約束していた。

苫小牧市議会は10月、誘致を推進する決議案を可決。北海道経済連合会など道内経済団体もIRの誘致表明を求める「緊急共同宣言」を道に提出し、10~11月には道議会の自民会派や鈴木知事に要望書を提出して誘致へ決断を迫っていた。

ところが自民党系の道議会最大会派は賛否を集約できず、誘致を表明しても議会の後押しを得られるか不透明となった。環境影響評価(アセスメント)に時間がかかって申請期間に間に合わない懸念も浮上。道民を対象とした調査でも誘致を不安視する声が目立ち、申請見送りを決めた。

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苫小牧観光協会の山岸裕治事務局長は29日、「オール苫小牧で準備してきたので、非常に残念だ」と話した。

IR実施法では国内3カ所までの設置を認めており、大阪府・市や横浜市、和歌山県、長崎県がすでに誘致を表明済み。このほか国の意向調査に名古屋市、東京都、千葉市が認定申請を予定または検討中としている。

国は自治体による申請期間を2021年1~7月と定めた。誘致を目指す都道府県や政令市はIR事業者とともに整備計画を策定し、国に認定を申請する必要がある。