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判決後、冨増四季弁護士(左)らと記者会見をする京都朝鮮学園の柴松枝理事=京都市中京区で2019年11月29日午前11時14分、川平愛撮影

ヘイトスピーチで名誉毀損 在特会元京都支部長に罰金50万円 京都地裁

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 京都朝鮮第一初級学校跡地近くでヘイトスピーチをし、同校を運営していた学校法人京都朝鮮学園の名誉を傷つけたとして、名誉毀損(きそん)罪に問われた「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の元京都支部長、西村斉(ひとし)被告(51)に対し、京都地裁(柴山智裁判長)は29日、罰金50万円(求刑・懲役1年6月)の有罪判決を言い渡した。

 告訴した学園側弁護団によると、ヘイトスピーチを巡って侮辱罪より法定刑が重い名誉毀損罪で正式起訴され、有罪判決が言い渡されたのは初めて。被告は即日控訴した。

 判決によると、西村被告は2017年4月23日、京都市南区の同校跡地近くの公園で拡声機を使って「ここにあった朝鮮学校は日本人を拉致しております」「拉致した実行犯のいる朝鮮学校がありました」などと約10分間発言。その様子を撮影した動画をインターネットで配信して同学園の名誉を傷つけた。

 弁護側は「発言中の朝鮮学校は朝鮮学校一般の意味。発言は重要部分で真実だった」「拉致に関与した朝鮮総連の糾弾が目的で、学園の名誉を損ねる意図はなかった」などと無罪を主張していた。

 柴山裁判長は同校を指した発言であることは明らかだとしたうえで、同校の元校長が日本人を拉致し、国際指名手配されたという発言の重要部分は「真実性の証明も、真実だと信じた相当な理由も認められない」と指摘。「学園の外部的評価を低下させた」と認定した。一方で「拉致事件の事実関係を一般に明らかにする公益目的があった。懲役刑を選択するほど重い罪ではない」と述べた。

 判決後に記者会見した西村被告の弁護人は「裁判所が差別目的を否定したのは評価するが、言葉尻をとらえた名誉毀損認定は表現の萎縮効果を生む」と控訴理由を説明した。

 同学園と弁護団も記者会見で「ヘイトスピーチに公益目的があると断言しており、助長する恐れもある。ヘイトクライム(憎悪犯罪)の本質を見誤っている」と批判し、検察に控訴するよう求めた。【添島香苗、国本ようこ、小田中大】