【イベントレポート】「Gレコ」初日迎え富野監督も満面の笑み、ドリカムのテーマソングは「新しい力」(コメントあり)
劇場版『Gのレコンギスタ I』「行け!コア・ファイター」の初日舞台挨拶が本日11月29日に、東京・新宿ピカデリーで行われた。
劇場版「Gのレコンギスタ」は、2014年に放送されたTVアニメ「ガンダム Gのレコンギスタ」TVアニメ全26話に、TVシリーズでも総監督を務めた富野由悠季が自ら指揮をとり、新作カットの追加や映像の再編集などを施した全5部作の劇場アニメ。舞台挨拶には、総監督・脚本の富野、ベルリ・ゼナム役の石井マーク、サンライズの小形尚弘プロデューサー、さらにテーマソングアーティストを務めることが発表されたDREAMS COME TRUEの中村正人がサプライズで登壇した。
冒頭の挨拶で富野は、本作が一部のイベントなどで先行上映されていたことに触れ、「これまでのものは一部完成していない部分もありまして、それでシラを切ってきました。今日ご覧になった作品が完成品です」と改めて公開初日を迎えた喜びを語る。石井はTVシリーズ放送当時に同じくこの劇場で上映会を行ったことを振り返り「そのときの緊張感を改めて感じています。本当に懐かしいなと言う気持ちもありますし、こうして皆さんに会えたことがうれしいです」と感慨にひたった。
TVシリーズから約5年の歳月を経て公開となった本作。司会から今の気持ちを聞かれると富野は「遅いんだよって言う話(笑)」と笑顔を見せながらも鋭いコメントを口にする。小形プロデューサーがタジタジになりながらも「まだまだ長いですから、5部作あるんでここからは巻きをかけていきたい」と話すと、富野は「それは信じないでください(笑)」と笑わせ、続けて「実を言うと時間をいただいてありがたかったなと思っています。この時間があったおかげで新作の気分で公開することができたということです」と愛のあるコメントを寄せた。
TVシリーズの再編集でもありながら、劇場版では新たにアフレコを行ったという話題では石井が話し出そうとすると、富野から「いいこと言うんだよ」と笑顔のプレッシャーが。石井が「僕自身、『Gレコ』という作品が原点だと思っているので、スタッフさんとキャストの皆さんにお会いできるのが本当にうれしくて。『Gレコ』の現場はいつも初心にかえることのできるすごく素敵なホームだと思っています」と思いを述べると、それを聞いていた富野は満面の笑みで拍手を贈っていた。
イベントでは本作のテーマソングアーティストにDREAMS COME TRUEが決定したことも発表。楽曲は現在制作中だが、第1部本編終了後に流れる第2部予告編にてインストゥルメンタルバージョンを聴くことができる。MCの呼び込みで登壇したDREAMS COME TRUEの中村正人が、富野と熱い握手を交わす様子に会場から大きな拍手が起きた。オファーの経緯について富野は「新しい力が必要だと思ってオファーしました。だけど僕はドリカムにお願いするって言う発想は全く持てなかったんです」と告白。続けて富野の妻からの進言があったことを明かし「巨大ロボットものにドリカム呼んじゃダメよね(笑)。本当にいいの?」といまだに驚きを隠せない様子だった。
中村は“ファーストガンダム世代”で、周りには「ガンダム」好きが大勢いながらも、これまで「ガンダム」に全く触れてこなかったことを明かす。そんな中村だがオファー前の夏の夜に富野の夢を唐突に見たそうで、オファーを受けたことについて「(断ると)バチが当たるか、よくないことが起きるんじゃないかと思って(笑)」と冗談めかして話すと、小形プロデューサーも「ニュータイプ同士の共鳴みたいじゃないですか!」と驚きを見せていた。また楽曲についても話題が及ぶと、「監督から(本作の)ポスターを見せていただいて『中村くんこれが全てだよ』と言っていただいたので。このポスターから聞こえる音を全部入れ込みたいなと思いました」と、現在レコーディング中だという楽曲への思いを語った。
富野由悠季コメント
今回テーマソングをDREAMS COME TRUEさんにお願いしたきっかけは、劇場版第1部のポスターが完成したときに、テレビ版の楽曲に加えて、新たな楽曲も必要だなという感触があったので、どうするかと亜阿子さんに相談した時に「このポスターの絵柄の感じにはドリカムさんしかないんじゃないの?」というコメントを貰ったことでした。
第1部を作る中で菅野祐悟さんの楽曲は十分に聞こえていましたので、これ以降の第2、3、4、5部までのことを考えると、新たな楽曲が必要だということがわかりました。そこでDREAMS COME TRUEさんにオファーすることに決めました。
僕とドリカムさんとの接点というのは、10年ほど前に1度、中村正人さんのラジオ番組の招待を受け、出演したことがあったので、面識はありましたが、今年2019年はドリカムさんのライブが大々的に行われる年なので、今年中にはお願いはできないだろうと思っていました。ですが、やはり劇場版第1部のポスターのフィーリングを醸し出せるのは、ドリカムさんしかいないと思ったので、本当に申し訳ないのですが、ライブで忙しいのを承知でダメもとで打診をしたところ、中村さんの方から受けてくれるという返事を頂いたので、今回のドリカムさんとのお仕事が始まりました。
中村正人(DREAMS COME TRUE)コメント
1958年生まれの私はまさにファーストガンダム世代。しかし当時は、一年中ゴムサンダルを履き同じ服を着たきりのバンドマン。テレビや電話(あの受話器がある黒いヤツ)なんて憧れの品々、実家からの消息確認は電報という生活。
なので不幸なことに富野由悠季総監督のガンダムと出会うことはありませんでした。
それから30年間、強烈熱烈なガンダム世代の仲間や後輩に囲まれ続けたおかげで、ガンダムを経験していないのにガンダムを知っているフリが上手いというニュータイプとして歩んできました。
10年ほど前、私のラジオ番組に富野総監督がゲストでいらっしゃいました。
驚きました。お会いした富野総監督こそが、私がずっと憧れ続け追い続けてきたクリエーターの神々が合体した最終形態のようなお人だったのです。
2019年。ドリカムは30周年を迎え4年に一度のワンダーランドツアーの真っ最中でした。
そんな夏のある夜。私は富野総監督の夢を見ました。そして頭の中に「ガンダム」と言う文字がくっきりスッキリ、まるでデジタルサイネージのように光り続けていたのです。
そしたら富野総監督からのオファー。これをお受けしないと何か悪いことが起きてしまう!
と思った私は速攻吉田美和に相談。お仕事が始まりました。「劇場版第1部のポスターが全てです!」と言う神のお告げの通り、そのビジュアルを全て音と歌詩にしました。
こんなデンジャラスでクリエイティヴな機会を与えてくださった富野総監督と亜阿子さん(特に亜阿子さん)に心から感謝申し上げます。
劇場版『Gのレコンギスタ I』「行け!コア・ファイター」
2019年11月29日(金)より2週間限定上映
スタッフ
総監督・脚本:富野由悠季
原作:矢立肇、富野由悠季
演出:吉沢俊一
キャラクターデザイン:吉田健一
メカニカルデザイン:安田朗、形部一平、山根公利
音楽:菅野祐悟
企画・製作:サンライズ
キャスト
ベルリ・ゼナム:石井マーク
アイーダ・スルガン:嶋村侑
ノレド・ナグ:寿美菜子
ルイン・リー:佐藤拓也
ラライヤ・マンディ:福井裕佳梨
クリム・ニック:逢坂良太