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台風15号の影響で倒壊した送電線の鉄塔=千葉県君津市で2019年9月9日午後0時38分、本社ヘリから玉城達郎撮影

鉄塔強度 地域別に基準作成へ 経産省 台風15号の停電で

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 9月の台風15号で送電用の鉄塔や電柱が倒壊して大規模停電が長期化したことを受け、経済産業省は29日、全国一律だった鉄塔の強度基準について地形や風の強さなどによって地域ごとに見直す方針を決めた。台風が頻繁に接近する太平洋側や、鉄塔が倒れた千葉県君津市など強風が吹きやすい地域で基準を引き上げる見通し。

 経産省は同日開いた有識者の作業部会で中間整理案を示し、大筋で了承された。出席した東京電力パワーグリッド(PG)は、台風15号で君津市の鉄塔2基が倒れた際には、最大瞬間風速70メートルの突風が吹いた可能性があると報告した。

 現在の強度基準で、鉄塔は風速毎秒40メートルに耐えられるように設計されている。今後もこの基準は据え置く一方で、台風が頻繁に上陸する太平洋沿岸や、強風が吹きやすい半島、岬などでは基準を引き上げる方向だ。

 既に九州や四国、沖縄では、電力会社が毎秒45~60メートルに耐えられるように独自の基準を設けている。経産省はこうした先行事例を踏まえ、全国の電力会社に地形を調査させ、地域別の風速基準マップの作製を検討する。

 一方、台風15号では約2000本の電柱が損壊したが、主な原因は倒木などで強い力が加わったことによる可能性が高く、経産省は現行基準(毎秒40メートル)の見直しについては慎重に検討する。【中津川甫】