別府アルゲリッチ音楽祭、伊の名門楽団と提携

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別府アルゲリッチ音楽祭のローマ公演に出演するアルゲリッチ(左ピアノ)、パッパーノ(右ピアノ)ら(2018年12月、イタリア・ローマ)=Musacchio-lanniello-Pasqualini撮影

アルゼンチン出身の世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチが1998年以降、毎年大分県別府市を中心に開催する「別府アルゲリッチ音楽祭」は2018年に20周年を迎え、地方発の先進的なクラシック音楽祭として定着した。19年はアルゲリッチと親交のあるイタリア出身の世界的指揮者、アントニオ・パッパーノが音楽監督を務めるイタリアの名門楽団、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団と交流協定を結んだ。アルゲリッチと二人三脚で音楽祭を切り盛りしてきたピアニストの伊藤京子は「別府では毎年高水準の音楽が生まれる。そろそろ自ら世界発信する時期だと考えた」と語る。

大分はかつて豊後と呼ばれ、戦国時代のキリシタン大名、大友宗麟が治めた。宗麟はカトリックを日本に伝えたザビエルと出会い、大分には音楽を含めた西洋文化が早くから伝来。約460年前、大分の教会で西洋音楽が日本で初めて演奏された記録も残る。そこで、音楽祭に過去3度出演したパッパーノに声をかけ、カトリックの本場イタリアと日本で音楽の相互交流を打診。パッパーノも申し入れを快諾した。

まず2018年12月、音楽祭の関係者や日本の音楽家がイタリアに渡り、アルゲリッチやパッパーノ、チェチーリア管の団員らと音楽祭のローマ公演を開催。19年は関係を進め、同楽団を運営するサンタ・チェチーリア国立アカデミア(音楽院)と協定を結んだ。同楽団は2020年以降、毎年音楽祭に音楽家を派遣し、公演やワークショップに出演。イタリア公演も計画する。「様々な文化を受容して改良し、独自の発展を遂げた日本のクラシックは世界の多様性の象徴だ」と伊藤。別府という地方都市から世界にクラシック演奏の意義を伝えようとする試みには大きな意味がありそうだ。

(岩崎貴行)